2014年06月03日(火)
白くない根2 [今日の一枚(旧)]
前回の続きです。
画像は3のカ所。夏場に伸びたと思われるカ所で猛暑の影響か他のカ所より細くなっている。色も悪い。
これだけ悪いと、普通は植替え時に剪除されてしまうかもしれない。
3の輪切り。
「根被」は水が入っている状態では茶黒いが切断部で水が抜けているところは白ぽっく見える。「皮層」は1や2のカ所と比べると黄色ぽっい。あえて黄色と言うが痛んだ結果の褐色ではないからだ。
(初めての人へ
一番外側は水を含んだスポンジ状の「根被」、死滅し中が空洞になった細胞。その内側に薄い膜状の「外皮」がある。その内側で根の大部分を占めるのが「皮層」。中心に茶色く見えるのが「内皮」に包まれた「中心柱」、中心柱の中に維管束が通っている。)
4のカ所。
痛んだところが多く見られるが基本は白い。
この根の伸びた頃は比較的涼しいので根被を傷める微生物が少なく多くを白いままで残せたと思う。
この後の夏場に伸びた根(3のカ所)は比較にならないほど微生物も多くなり根被は防戦一方だったのだろう。
4の輪切り。
「根被」は白い。
「皮層」は1や2のカ所よりは黄色い。
こちらは3のカ所を生物顕微鏡で見たもの。上は実体顕微鏡画像。
中心柱(左端)から外皮まで写っているが、皮層を見てもらいたい。
皮層の細胞の中が見えていると思う。
中心柱に近い所は顆粒が詰まっている細胞が固まっている。(顆粒はデンプン)その右手の方は中に大きな塊が一つ入った細胞が多く見える。
上の輪切り画像で黄色く見える正体がこの塊である。これは紛れもなくぺロトンだ。
一枚に収まりきらないので別画像になっているが、上と同じもの。
根被部分だが、これだけ変質してもしっかりと皮層をガードしている。
見上げたものだ。蘭菌の菌糸だけは通すが、他の菌は絶対に通さないと頑張っている。
根の先端を除いて「根被」は死滅した組織であり、土が湿った状態では水を含み、土から出すと乾燥して萎んでしまう。水が自由に行き来するスポンジのような組織である。
白い根を絞ると澄んだ水が出るが上のような根被からは濁った水が出てくる。不純物が根被の内外に存在するからだ。その不純物が何かは明確では無いが、根圏微生物の死骸や土に由来すると考えられる。
以前はこんな根は良くないと思われていて、根を白くする対処法が広く行われていた。栽培のテキストに当然のように書かれていたこともあった。
その一つが、用土の洗浄だ。鹿沼土やダケ土を綺麗に洗って微塵を除去し天日に干して使っていた。ダケ土などは角を取るため小型のミキサーでかき回し洗浄していた。
そしてもう一つが土や根の消毒だ。植え替え時、バケツに入れた農薬液に数時間から一晩つけ込み植え付けしている人が多かった。シーズンに数回農薬を潅注するのも普通だった。
私の栽培は当初からこんなことはしなかった。その意味がわからなかったのが大きな理由だが、普通の作物として栽培してきた。
Posted by woods at 2014年06月03日(火) 13時46分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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