2011年08月23日(火)
根被の働き [寒蘭の勧め]
【ランの根は表皮と外皮との間に原表皮の細胞が並層分裂してできた根被細胞が数層ないし十数層重なって,根の内部を保護していることも特徴の一つである。この根被細胞は分裂後しばらくはその内部に細胞質や核などが見られるものの,それらはすぐに消失して細胞壁の繊維質だけが外壁となって残り,中は空洞化したスポンジ状の死んだ状態の組織となる。根被は乾燥条件下では空気が入っているだけである。ランの気根が白く見えるのはこの空洞のセル内の空気での太陽光線の乱反射によるものである。】
これら3枚の画像は新芽の根の先端の様子である。
上記の説明は澤先生の記述でその通りだと思うが、根被には先生がふれていない重要な役割があるのではないだろうか。
画像の根は先端から約2センチのヶ所。真っ白でまったく痛みのない根被をしている。先端部の根には表皮らしきものが見える。表皮があることによって根被を保護しているのではないだろうか。
根被と皮層の境の外皮は細胞の形がバラバラではっきりしていない。
こちらは、先端から3〜4センチのヶ所。
茶黒くなっていて表皮は見えない。
茶黒くなっているのは根被のみ。
丸い粒は空気の泡。
皮層や外皮の細胞はまったく変質していない。
形も先端部よりしっかりしている。外皮によって内部を保護している感じがする。
根被が褐変した部分の輪切り。
切ってしばらく置くと、根被細胞が乾燥して空気が入っている。
空気が入るとなんとなく白っぽく見えてきた。
ピンセットで根被をつまむと簡単に取れる。
とれた根被。
この茶黒くしているのは何だろうかと見てみると、
根被の表面に黒や茶色い塊が付着していたり、細胞が茶褐色に変色していたりと原因がよくわからない。
根被細胞の中で一部の細胞が茶色くなっている。全体的にも細胞壁が褐変している。
細胞は壊れていない。右上の白く見えるのは外皮細胞。根被細胞は全体的に茶色い。
Posted by woods at 2011年08月23日(火) 22時48分
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