Woody note

土佐寒蘭の栽培を趣味にしているWoods@管理人のブログです。

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2013年09月23日(月)

発色法 [寒蘭の勧め]

この時期寒蘭の花を良い色に咲かせようと皆さん苦労していると思います。

わたしも毎年苦労していますが、この時期はいつも澤先生の記述を参考にしています。古くからの人には既出の内容ですが新たな人もいると思いますので紹介します。

要約すると下記のような内容です。

1.寒蘭の発色色素
・アントシアニン (紫 赤紫 桃 紅)
・カロチノイド (黄 オレンジ 赤)
・クロロフィル  (緑 黄緑色)

2.寒蘭の花の色を良くするのは
赤色などの波長の長い光線ではなく。可視光の青色から波長の短い紫外線が、発色成分であるアントシアニン系色素及びカロチノイド系色素を増加させる。

これらの色素はクロロフィル(葉緑素、これは恐らく可視光で増加)と混ざり合って色彩が濁ってくる。

色の質については、遺伝的なところによることが多いが、量については光エネルギーによるところ大。

(光は大きく分けて紫外線(1-380nm)、可視光( 380-760nm)、赤外線(760-1000mn)があります。)


3.花色発現にはアントシアニンの構成成分となる糖の植物体内での蓄積も影響する。
このため夜温が高く昼間に光合成で生成された糖が夜間の呼吸作用により消費されると色素の形成はなされない。したがって昼間は光線量のみでなく25−30℃程度の光合成を高めるような高温に、夜間は15−20℃の呼吸を抑えるような低温にするなどの温度管理も必要。


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この記述から私の一番の対策は

画像のように窓(出入り口も含めて)を開け広げることをしている。
この窓から午前中の直射日光を取り込んでいる。

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なぜならこの第一蘭舎は全面ポリカの波板で紫外線をカットしてしまい、紫外線は開けた窓からしか入らないからだ。

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第二蘭舎は発色を十分考えて建てた蘭舎で、直射日光の取り込み窓は大きい。
屋根は紫外線カットのポリカ波板だが、こちら面の波板は紫外線をカットしない塩ビのタキロン波板としている。

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第三蘭舎はハウス構造でこちらも紫外線カットフィルムを張っている。
紫外線は巻き上げたサイド窓からしか入ってこない。

Posted by woods at 2013年09月23日(月) 17時42分   パーマリンク

2013年08月04日(日)

蘭舎の湿度対策 [寒蘭の勧め]

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今日は降るかと期待していましたが、早朝にパラパラと来ただけで地面が湿るほどの雨はなく連日のごとく猛暑でした。

そんな中、湿度について改めて考えてみた。と言っても、データに基づく理論だった話で無く自分が勝手に思っている湿度対策のことだが。
ネタ不足なので思い付くままに書いてみる。画像は第一蘭舎の床。

私の蘭舎は潅水後の余った水は排水されずにすべて床に浸透する。この第一蘭舎の床は防草シートを張っているが、シートを通過し地面にしみこんだ水は、シートが乾くと地面から上がってきてシートを常に湿らせてくれる。(晩方乾いていても朝は湿っているといった感じだ。)ただし、この時期は潅水はおおむね中2日で行っているが、潅水だけの水では蘭舎の湿度を保つことができていない。そのため葉水をやったりしているが、それ以上にこの床には頻繁に水撒きしている。

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窓は跳ね上げ式にしているが、これは開く角度を小さくして外から吹き込む風を弱め風で乾燥しすぎないようにしている。
また、窓の高さもある程度高くして風が当たっても寒蘭の葉の上部を吹き抜けるようにしている。もちろん防風ネットも張ってある。

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棚枠の遮光ネットも乾燥防止対策。

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小屋の入り口サイドはドア(網戸)からの風が強いので遮光ネットの内側にビニールを張っている。

採光や通風も考えていかないといけない中、湿度を保つことはなかなか易しいことではないが、いろんなことをやって少しでも乾燥しないようにしている。

Posted by woods at 2013年08月04日(日) 22時44分   パーマリンク

2012年10月26日(金)

花芽付き株の植え替え [寒蘭の勧め]

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この時期になるとよく訊ねられる。
「展示会用に良い鉢に植え替えしたいが、どんなものだろうか?」

植え替えが花に影響するのか、影響があるのならどの時期が一番少ないかなどを知りたいのだろうが、私はあまりお勧めできません。少なからず悪影響があります。と答えている。

ただし、自分はあまり気にせず、花芽付きの鉢も植え替えしている。

基本的な点は
・展示会用に鉢だけよくする場合は、
バックを外したり根を切ったりはせず、土も古いものをそのまま使っている。バックの葉が痛んでいる場合は、バルブと根は残し、葉だけ元から切除している。時期は、人は展示会の直前が良いという人もいるが、私は気になった時点で可能な限り早く植え替えしている。

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・この画像の例は、
大株で葉の中に花が籠もってしまいそうなので、バックを二芽ほど外してすっきりさせたもの。
この場合は花に影響が出たとしてもかまわないと思い、来年のことを考えて新しい土で植えている。

植え替えでの影響として、花間をとっている時期では花間がやや詰んでしまう。花間をとった後の植え替えは蕾がやや小さくなる。開花直前では、早く花が開いてしまい、切れが悪くなる。などあると思う。

Posted by woods at 2012年10月26日(金) 19時09分   パーマリンク

2012年10月10日(水)

花の評価 [寒蘭の勧め]

今年は、あくまで自分用ですが、下の「評価基準」で開花した花に評価点を付けようと思う。

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ランクとレベルの使い分けが良くわからないが、便宜上ランク5〜1、レベルA〜Eとする。

ランク
  5=[銘品級] ・・・たんなる命名品でなく中村支部や本部展
            で金賞以上を狙えるもの
  4=[準銘品級]・・・5に準じるもの
  3=[良花]  ・・・展示会入賞クラス
            初花や不作で4ではないが、作り込めば
            4になりそうな花は3+とする
  2=[普通花] ・・・普通に良い花 
  1=[雑]   ・・・良くない花

レベル
  A=「逸品で他に無いもの」
     ・・・その株しかないもの又は一人が独占しているもの
  B=「準A級」
     ・・・数人程度には分譲されているもの
  C=「比較的数がある又は似たものがある」
     ・・・数十人の規模までに広がっているもの
        または、坪取りなど似たものが作られているもの 
  D=「一般的なもの」
     ・・・完全に普及しているもの又は似たようなものが多い花
  E=「その他」
     ・・・その他

Posted by woods at 2012年10月10日(水) 19時00分   パーマリンク

2012年09月28日(金)

農薬散布 [寒蘭の勧め]

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この時期は花芽の害虫を重点的に防除しています。

薬剤散布は10日ぶりですが、今日はついでに殺菌剤と液肥を混用した。
画像は今日の薬剤と液肥。

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害虫防除は蘭だけで無く通路や鉢下の地面、天井や壁など蘭舎全体に散布している。

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花芽にかかった薬液。

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この箒状の花芽の時が、一番薬害が出やすい。蕾の間に溜まった薬液が蒸発する過程で濃くなり濃度障害を起こす。
これを軽減するためには風通しをよくしてはやく乾燥させる。高温時に薬害は助長されるので朝夕の涼しいときに撒布する。
今回は液肥を混合しているので9時頃撒布した。

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葉にかかった薬液。
液肥を効かせるため葉の裏側にもよくかかるように散布している。

Posted by woods at 2012年09月28日(金) 10時48分   パーマリンク

2012年08月17日(金)

この時期の作業 [寒蘭の勧め]

残暑も厳しいですが、私は盆を過ぎたこの時期から集中的に新芽が出なかったり、生育が遅れているなと思う鉢を植え替えしています。

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以前も紹介したことがあるかと思いますが、今はこんな感じでやっています。

この株は今年新芽が付かなかった。

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うつしてみると、根数が多く茶黒く変色しているところはあるものの腐ったり傷んだヶ所はほとんどなかった。

根の先端が白く現在伸張中のものも何本か見られたが、全体的に無駄に根数が多かった。
一見、問題ないようだが、新芽のでなかった原因に根の老化が有るのかなと考えられた。新芽が付かないのは根の老化で植物ホルモンのサイトカイニンの生成が抑制されているのかもしれない。

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そのため、バックバルブを一芽外すとともに、先端が伸張していない根の内、やや茶黒くなっていた所を剪除した。

地上の生育のため、根の活性を高めることは大事なことで、腐ったり傷んだりしていないので通常なら切り取らなくても良いところも切り戻すことで再生をはかった。

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この時期の植え替えで特に注意していることは、植え付け後の活着を良くするため、根痛みを軽減するために使用する土をあらかじめ湿らせておくこと。
あまりこんなやり方をしているのを見かけないが、前もって配合し水をかけておくと土が馴染み、植え付け後に根に負担をかけなくなるので、是非やって欲しい。私は箱に配合土を入れ灌水しているが、少数の場合は鉢に土を入れて準備しておく良い。灌水の時に一緒に水掛をかければ簡単だ。

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次ぎに、バルブの接合部や根の剪除ヶ所は癒合剤(接ぎロウ)で保護しておく。傷口からの病気の侵入を防ぐ。

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その後は植え付けし普通に灌水するが、灌水後に病気予防と発根促進のためタチガレエース液剤を1000倍程度で灌注する。この時、昨年からキトサン剤のキトチンキを1000倍になるよう混合している。
これにより植え付け時のトラブルは防ぐことが出来る。

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タチガレエース液剤やキトチンキはフザリウム菌による腐敗病予防も目的にやっているが、蘭舎内にフザリウム菌が蔓延するとこれらでは防ぎきられないので、腐敗病に対しては別途蔓延予防対策をとっていることが必要不可欠。

Posted by woods at 2012年08月17日(金) 18時53分   パーマリンク

2012年07月23日(月)

薬害 [寒蘭の勧め]

薬害について書いた所がないかと捜していたら良い資料が見つかった。
専門的な内容となっているが、端的にまとめてわかりやすいので皆さんにも参考となると思う。
薬害の症状(宮崎県病害虫防除所)

寒蘭の場合、明らかに薬害だという酷い症状は少ないが、薬害ではないかと思われる事例は少なくない。意外と薬害は頻繁に起こっているかもしれない。

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一つは「葉先枯れ症状」だ。二次的に葉枯れ病や炭そ病が発生して枯れ込んでいるが、これらの病気は生育旺盛な葉先に発生することはほとんど無く、葉焼けや薬害などで弱った所に出ている。先端が1センチ前後黒化しているのもよく見かけるが、これらも薬剤が葉先を痛めているのかもしれない。

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もう一つは、「袴の枯れ込み症状」だ。袴はバルブが肥大するにつれて立てに裂け、裂け口が傷となり病気が侵入しやすいため直接病気も出やすいが、じわじわっと枯れている場合などは先に薬害で弱ってるのではないだろうか。

Posted by woods at 2012年07月23日(月) 21時12分   パーマリンク

2012年07月15日(日)

花芽分化8 [寒蘭の勧め]

「花芽を付けるた水を切りたいが、いつ頃が良いだろうか?」
これに対する解答は結論から言うと、5月末〜6月中旬頃ではないかと思う。あまり明確な根拠は見つからなかったが、次のように植物ホルモンが関係しているようだ。ただし、これをしたからと言って確実に花が来る訳ではない。水を切ることは植物をいじめる事で花が付いたとしても決して良い結果には成らないだろう。勧められるものではない。

【水を切る】→【乾燥】→【アブシジン酸生成】→【サイトカイニンの抑制】→【開花ホルモンのフロリゲンの発現】
若い根では栄養成長しようとサイトカイニンが沢山作られているが、植物は乾燥状態が続くと気孔を閉じて水分蒸発を防ぐ機構が働く。この時アブシジン酸が生成されて気孔を閉じる(アブシジン酸には植物を休眠させる働きもある)。同時にサイトカイニンの生成を抑制する。フロリゲンとサイトカイニンとの関係はよく解らないが、花芽分化はサイトカイニンが少なる環境で起こっている。

水を切って乾燥させると花芽が付くのはこう言う理屈ではないだろうか。

これとは別に自分なりに花芽分化について何か結論づけたかったのだが、参考となる資料やデータがなくいくつか課題として残ってしまった。(中途半端ですが、花芽分化シリーズはこれで終わりにします)

Posted by woods at 2012年07月15日(日) 21時41分   パーマリンク

2012年07月06日(金)

花芽分化7 [寒蘭の勧め]

実際、5〜6月の照度はどれ位あったらいいのか。葉焼けを心配しない環境であれば、光合成の光飽和度以上にあることが望ましいが、寒蘭の場合は照度が高いと簡単に日焼けしてしまうので(一般に蘭類の光合成は30,000ルックス前後で最大となる。蘭によっては50,000〜60,000ルックスのものもある。)寒蘭については3万ルックスが良いよとはなかなか言えない。

気温の上がる5月以降は葉焼けをしない照度にしないといけない。この照度を私は15,000〜20,000ルックス程度ではないかと考えている。30分でも強い光が当たると葉焼けを起こすので最大値となり、これ以上の強い光は当てられない。しかし光合成のためには日焼けをしないように環境を整えてこの照度を確保したいところだ。
(最大値をこのあたりで管理すると蘭舎の構造にもよるが実際に寒蘭が受ける昼間の平均的な照度は7,000〜10,000ルックス位になる。)

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遮光率75%の遮熱ネット

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遮光率45〜50%の遮光ネット

私は今年5月4日から上の資材で遮光している。
屋根は透明のポリカ波板(光透過率は90%)

【これらの資材での計算上の照度】
屋外最大値=120,000ルックス
ポリカ波板透過後=120,000×90%=108,000ルックス
遮熱ネット透過後=108,000×25%= 27,000ルックス
遮熱ネット透過後= 27,000×55〜50%=14,800〜13,500ルックス

計算上は14,800〜13,500ルックスなので葉焼けはしないと考えているが、問題はこれで十分な花芽分化が期待できるかだ。
明るくして試すしかないが、なかなか試せない。

Posted by woods at 2012年07月06日(金) 05時56分   パーマリンク

2012年07月05日(木)

花芽分化6 [寒蘭の勧め]

花芽分化について書いてきたが、解っていることはあまりにも少なく、わからないことが多すぎる。
大きな疑問がある。

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【5〜6月頃花芽分化した芽は確実に地上に出てくるのだろうか?】

地上に出てくる前に何らかの理由で、止まっているものもあるのではないだろうか。
昨年の新芽は、春には未分化の芽をバルブの基部に沢山持っていて、バルブの充実と春先の気温の上昇に伴い、その中のいくつかが葉芽となる。5、6月頃になると残った未分化の芽が花芽に分化している。花芽に分化した芽は7月の下旬当たりから一つのバルブから一つか二つ伸びてくるが、地上に出ないで地中で止まってしまう芽も少なくないのではと思うのである。

奴芽を一芽にしているが、これは花芽分化を促進するためでなく、花芽分化した花芽を途中で止めることなく伸ばし続けるために行っているのではないだろうか。(逆に栽培管理が不適でせっかく花芽分化した芽を止めていることも多いのではないだろうか)

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【遅い花芽は遅く分化しているのだろうか?】

花芽分化は7月とか8月になってもするのだろうか。本当は花芽分化は5〜6月頃にしているのに途中で止まってしまった花芽が、これも何らかの理由で遅くに伸びだしただけでははないのか。

7月下旬から8月上旬に地上に出た花芽を観察していて思うのだが、最も暑くなる8月中旬から9月上旬の1ヶ月間は伸張が止まっているように見える。9月の中下旬になってやや涼しく感じるようになると伸びてくる。
地中でも止まっていて、9月中下旬に地上に伸びてきているだけではないだろうか。

実際、花を咲かせるだけの力がなくて途中で止まっているものもあると思うが、寒蘭自らが自己防御のため花芽の伸張を止めているのではないだろうか。このまま伸張さすと暑さでブラインドになると判断し、盛夏をやり過ごしているように思えてならない。夏場に花芽は休眠しているようにしか見えないのだ。


秋遅くなってもバルブが充実すれば花芽が付くなら開花調整も可能であるが、5〜6月頃にしか花芽分化しないのであれば任意の時期に開花させられないことも当然であるのかもしれない。

Posted by woods at 2012年07月05日(木) 20時26分   パーマリンク

2012年07月03日(火)

花芽分化5 [寒蘭の勧め]

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1成木の3年生バルブ

寒蘭のバルブを検鏡してみた。

こちらは、成木の成熟したバルブ(3年生)。
びっしりとデンプン粒が蓄積されている。

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2中木の昨年のバルブ(新芽付き)

こちらは、中木の2年生バルブ(昨年の芽に新芽付き)。

デンプン粒はまばら。しかも小粒である。

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3成木2年生バルブ(奴芽付き)

こちらは、成木の2年生バルブだが、新芽が奴で付いていたもの。

まったくデンプン粒は見られない。

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これは、上の3のバルブの成熟した根。

十分伸張した根の中程からやや上であるが、デンプン粒が詰まった細胞が見られる。

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3のバルブの伸張中の根。

まったく内容物が見られない。

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これは、上の3のバルブの別の成熟した根。

蘭菌のペロトンが見られる。
(蘭菌の見つかる頻度は非常に少なかった。)

上の拡大。

ペロトンは昨年の観察では、新しく伸張中の根や若い根には少なかったと思う。

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デンプン粒(この粒はデンプンだと思うのだが確認はしていない)の蓄積は、バルブと根ともに成熟するにつれて多くなっているようだ。若いバルブや根ではほとんど蓄積されていない。
若い組織では光合成で生成された炭水化物はすぐに利用されて貯えられるところまで行かないのだろう。

それとも私の採光管理では、若い組織では光合成がデンプンの貯蔵までいかないのだろうか?

寒蘭もシンビジウムと同じように光合成の光飽和度(光合成が一番活発になるところ)は3万ルックス程度と言われている。
私の蘭舎はこの一ヶ月間は半分どころか三分の一にも達していない。
(ちなみにシンビジウムは余裕を持って5万ルックス程度の環境で栽培されている。)

Posted by woods at 2012年07月03日(火) 18時23分   パーマリンク

2012年07月02日(月)

花芽分化4 [寒蘭の勧め]

シンビジウムの光強度と花芽分化の関係についていろいろ調べていたら、光強度と花との関係で興味深いデータ見つかった。

バックバルブ下位部の炭水化物含量が、90%遮光下で育てたシンビジウムでは50%遮光下で育てたものとくらべ約4割に留ままっていたと言うものだ。しかも、50%遮光ではグルコースやフルクトース、サッカロースなどの糖は全体の14%と少なくデンプン割合が86%と高いのに対して、90%遮光下はデンプン割合は29%と低くかった。そしてこのときの90%遮光の弱光下では、花芽は全く発生していなかったと言うものだ。

これらから「シンビジウムが花芽分化するための内部的必要条件の一つとして,若い生育中のリードのバルブ下位部に光合成産物がある一定以上蓄積することが不可欠であると考えられる。」とまとめていた。

Posted by woods at 2012年07月02日(月) 21時07分   パーマリンク

2012年06月30日(土)

花芽分化3 [寒蘭の勧め]

【ブラインドと休眠】
ブラインドという言葉をご存じだろうか?
シンビジウム栽培の用語で夏の高温で花芽が止まることを言う。
暖地の平地では6〜7月に付いた花芽が8月の暑さに耐えられなくなって止まってしまう現象。品種にもよると思うが伸張している途中で止まって腐ってしまう。

これを回避するためにシンビジウムは7月頃、山上げを行っている。1000メートル級の高地に移動して涼しい環境で花芽を伸ばしている。

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寒蘭でもこのブラインド現象が起こっているのではないだろうか?近年8〜9月に花芽が止まってしまうものがよく見られるようになった。自分は7月下旬頃より花芽が伸びてきた株をタグ管理しているが、昨年は花芽を確認したもののうち花を見られなかったものが14鉢ほど率で5%ほどあった。猛暑の一昨年は10%を越えていた。

それと観察していて思うのだが、ブラインドするまでも盛夏は花芽の伸張が止まっている。このまま止まってしまうのではないかと心配していると9月の中頃から伸張しているが、夏の間は一ヶ月は休眠しているようだ。

Posted by woods at 2012年06月30日(土) 21時11分   パーマリンク

2012年06月27日(水)

花芽分化2 [寒蘭の勧め]

【日長や温度に直接依存せず,日照条件に支配される炭水化物の体内含量が関与している。】
このことを寒蘭で考えてみると、「5、6月に十分な日照を採っていること」、「芽かきをしていること」などはこれに当てはまるからやっているのだなと今更ながら思ってしまう。

昔から寒蘭は4枚葉や5枚葉以上が出ないと花が付きにくいことが解っていた。奴で新芽を出すと花を付けるのが難しいことや、逆に枯れかけの株で新芽の付かないバルブには花が付くこと等、これらのことから花を付けるにはどうしたらいいかという具体的な方策がわかっていたのだろう。
光合成で十分な炭水化物を生成しバルブや根に貯蔵しないと、そして貯蔵した炭水化物をむだに使わず、花芽のために残さないといけないということは寒蘭栽培の基本的な道理だったのだろう。

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しかし、「日長や温度に直接依存せず」と言うとこからは、今年の新芽が順調に伸びてその後バルブが張ってくれば花芽が付くのか?という疑問が出てくる。それは多くの場合、来年のその時期5、6月にならないと付かないという答えになるだろう。(一般的な環境ではまず無理であるし、特殊な環境を作ったとしても任意にコントロールすることは難しいと思う。)

しかしながら、例外がある。
左の画像のような新芽には花が付く場合があるのだ。

下は上の株の新芽のアップであるが、この時期に新芽のバルブがこの程度大きくなっているものには大きな確率で花が付く。花芽の出はやや遅いものの、昨年のバルブから出た花と見劣りのしない花が同じ時期に開花を見ることが出来るのだ。
あくまで私の蘭舎でのことだが、この時期にバルブに一定の厚みがないと7、8月にいくらバルブが張って大きくなっても花芽は来ない。(上への伸びでなく横の伸びが必要)

調べてみれば解ると思うが、おそらく親バルブから子バルブへの炭水化物の移動があるのかもしれない。この大きさは「たまたま炭水化物含量が適量となるので」花芽分化してしまうのではないだろうか。(新芽の内は自分の葉で光合成してバルブに炭水化物がたまったから花芽が分化したということにはなかなかならないと思う)

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Posted by woods at 2012年06月27日(水) 20時09分   パーマリンク

2012年06月26日(火)

花芽分化 [寒蘭の勧め]

今朝のこと「花芽を付けるた水を切りたいが、いつ頃が良いだろうか?」と質問があった。
花芽を付けるため水を切ること、実際には10日ほど水やりをしないことらしいいが、私はそれをしたことがないので答えに困ったのだが、いまだにこう言うことを考えている蘭作りもいるのだなと感心した。(自分がしている技術でないので深く考えたこともなく、若い頃になんどか聞いことがある話なので迷信くらいに思っていた。)

今日は1日中「水を切る」ことがどう言う事なのだろうか?という問いが頭の中を駆け回っていた。
昔の人がしていたので、一つの栽培技術だったのだろうが・・・
上の答えに直接にはならないかもしれないが、ブログのネタに花芽分化について考えてみたい。

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寒蘭の花芽分化のメカニズムは研究されることもなく、
先に紹介した「カンラン 寒蘭の美と栽培 誠文堂新光社」の澤先生の記述「花芽は5〜6月の初夏の頃に作られる。長日条件に加えてある程度の温度を必要としている。」からほとんど進展していない。

シンビジウムの花芽分化も6月頃から始まるのをご存じだろうか?
突然シンビジウムの話で申し訳ないが、寒蘭で研究されていないのならシンビジウムを参考にするしかない。私は以前から花芽分化のメカニズムは寒蘭とシンビジウムは一緒ではないかと考えていた。

最近ではシンビジウムの花芽分化は【日長や温度に直接依存せず,日照条件に支配される炭水化物の体内含量が関与している。】と言うところまで解ってきた。
これが寒蘭にも当てはまるのではないかと思う。

(続く)

Posted by woods at 2012年06月26日(火) 20時25分   パーマリンク

2011年10月24日(月)

支柱外しその後 [寒蘭の勧め]

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画像の蘭は支柱外しで紹介したものです。

あの日から14日経って開花しました。
どうでしょうか?正面がしっかり出来て良い感じではないでしょうか。
この花には12日以降まったく手を入れていません。初め蕾の方向が決まれば後は本当に楽です。
よく見かけますが、花が開いてから何とかしようと方向をいじっても、なかなかうまくいかないです。


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ほとんどの花は茎に対して螺旋状に付いています。方向を一定方向にそろえるだけで自然な花配りになります。
螺旋は右回り左回りどちらでも構いません。
蘭舎の偏った採光で不自然に曲がってしまう花よりも、支柱を添えて花茎を真っ直ぐにし、花を螺旋状に配る方が本来のあるべき姿ではないでしょうか。

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【27日追加】
画像は3日後の写真です。この花は花弁が弱く3日花かと思いましたが、そこそこ頑張ってくれています。

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下の画像は花弁の反りを修正したものです。
これ以上補正すると不自然で、また何日かすると崩れてきますが、この状態であれば花会にも十分堪えられそうです。

初花なので次の花を見ないと何とも言えないですが、副弁長が5センチありますので、大輪の青々になります。実際、副弁の先端間も9センチを越えますので見応えもあります。
自分の花を褒めても仕方ないですが、もし本部展に開花が合えば、司ノ華(高知県では青々で登録)などとがっちり喧嘩の出来る花ではないでしょうか。

カテゴリー「寒蘭の勧め」の中で私の花芽管理と開花法を紹介しましたが、これはあくまで基本形であって、色んなやり方でやられている方も多いです。
花に手を加えるのには色んな意見があると思いますが、アレンジして色々とやって綺麗に咲かせてもらいたいと思います。

Posted by woods at 2011年10月24日(月) 21時02分   パーマリンク

2011年10月20日(木)

こんなのも [寒蘭の勧め]

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これは茎がつぶれたように褐変しています。
蕾が萎れてきたのでどうしたことかと見ると、茎の途中が柔らかくぐにゃぐにゃになっていた。
虫か?薬害か?
たぶん、毛糸で強く縛りすぎたんだろう。
こんな失敗もたまにあります(^_^;)

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これは
花茎の曲がりを補正しきれなくなった状態。
毛糸の花が花盛り(^o^)

下の画像のように蕾の重さで茎が傾き元に戻らなくなってしまったのを、無理に縛って戻そうとしています。はたしてもどるでしょうか・・・

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Posted by woods at 2011年10月20日(木) 10時51分   パーマリンク

虫害 [寒蘭の勧め]

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たまにはこんなのもあります。

散布間隔が10日〜14日くらいなので、その間にタイミング良く産卵されると加害されることがある。

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虫は死んでいないが、蕾に痕が残った。

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3輪の内2輪は無事だが、茎もかじられてた。


これらは蕾がほうき(こちらでは蕾がかたまって見えている時を言います)の時やられています。9月の上旬頃でしょうか。

殺虫剤は虫や卵に直接かからないと殺せないものや、散布成分が植物の表面(幾分浸透し)に残効として残って、その後、虫がたかると死んでしまうものや産卵した卵をダメにする物など様々なものあります。また成分に忌避効果のあるものもあり、対象とする虫に応じた薬剤選択が必要です。

画像の蕾もこれだけですので、薬剤が十分かかっていたら残効で効果があったと思いますが、たまたまかかっていなかったか、かけむらがあったからだと思います。もしこんなのが沢山あるようでしたら薬剤や散布方法を見直してください。

*これをかじった虫はおそらくハモグリバエだと思いますがすでにいなくなっていたので特定できていません。

Posted by woods at 2011年10月20日(木) 10時27分   パーマリンク

2011年10月19日(水)

薬害か [寒蘭の勧め]

今年は蕾の奇形は無いと安心していましたが、今日蘭舎で見ていたらいくつかおかしくなっているのを見つけました。

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画像は第一蘭舎内で蕾が割れていたもの。薬害が疑われる。
蕾が割れるのは薬害の症状の一つだと考えられるが、この画像の蕾が薬害であるかどうかは解からない。花弁の一つが何らかの障害を受け生育が遅延し正常に発育する花弁とズレが生じ発生している。(虫の汁液吸収や、扇風機の風を強く当てすぎたときなども蕾が割れるようです)
第一蘭舎には100ほど花が来ているが、この症状が見られるのはこの鉢だけ。

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こちらは第三蘭舎で見つけた蕾。
今のところ蕾が割れているのはこの鉢だけだが、この鉢には通常の薬剤散布(噴霧)に加えて、近くで腐敗病が発生していたため2〜3回ベンレートT水和剤1000倍を潅注していた。

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こちらも第一蘭舎。
こちらは薬害かどうか解らないが、蕾が小さなままで止まっていた。

全体で300本ほど花芽が上がっているが(20本ほど伸張が止まったものもある)、薬害の可能性のあるものはこれら3鉢。止まった中に薬害もあったかもしれないがよくわからない。今までも多くてもこんな蕾が5〜6鉢あったくらいだ。

「薬害か」の続きを読む

Posted by woods at 2011年10月19日(水) 18時38分   パーマリンク

2011年10月14日(金)

農薬散布の意義2 [寒蘭の勧め]

先日の農薬散布は炭そ病の予防も兼ねていました。
ついでにやった感じですが、本当はこの時期の炭そ病予防は重要で単独でもしっかりと防除しておきたい病気です。

画像(280x210)

【炭疽病の特徴】
葉に発生する。はじめ黒褐色の小斑点が現われるが,しだいに拡大し,淡褐色〜灰白色の楕円形病斑となる。隣り合った病斑が融合すると不整形の大型病斑となり,葉先から枯れる。病斑部と健全部の境界には明瞭な黒褐色帯が形成される。のちになると,病斑上に多数の黒色小粒点(分生子層)が生じる。

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[画像は上は病斑上に生じた黒点、下は黒点の一つをとり検鏡したもの]

ここから発生する分生子(胞子)の飛散により伝染する。侵入しても健全な葉には発病せずに潜伏する。そして,寒害,日焼け,肥料の害,薬害などのさまぎまの原因による生育不良に伴って活力の低下が起きると,潜伏しいた病原菌が活動を始め,発病する。病斑の周囲または健全部との境界は黒褐色帯が形成される。病原菌の宿主範囲は広く,各種の野菜,花卉,果樹などに及び,伝染源は至るところに存在する。

一般的にはこのように言われています。

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【炭そ病の病徴】以下は私の私見です。
寒蘭では葉先から枯れ込むだけでなく、袴の枯れ込みも見られます。また幼木では葉の元の方から枯れてきてスボ抜症状を現すこともあります。また、袴が炭そ病に侵されていると、内側のバルブが黒変したり、次に新芽が出るときに新芽の元も黒変してくることがあります。
最初から袴が黒変している新芽は生育がきわめて悪いですね。

これ以外にも株全体の生育不良も起こしている懸念があります。フザリウムと同じように根の先端から入ってきた菌糸は道管の中で繁殖し導管を詰まらせ上部に水や養分を移動できないようにしているのではないでしょうか(イチゴなどでは株の萎縮症状を出して苗をダメにしてしまいます)。腐敗病のように急性的ではありませんが、何となく元気がないとか葉に生気がない、新子が思ったように大きくないなど慢性的な症状を出しているかもしれません。
こういう株では根も傷み、弱った根では根被だけでなく皮層や中心柱まで黒変しているようです。

【感染源と感染経路】
感染源は病斑上で生じた胞子ですが、風では飛ばず、潅水の水に溶け出して伝播しています。新芽のバルブが大きくなるにつれて袴が割れてきますが、この裂け目から侵入したり、土の中に水と共に流れ込み、根冠で発芽し根の内部に侵入します。その他傷口からも入っていきますが、幼木などは急性的にスボヌケ症状を起こすことがあります。

根から侵入した炭そ病菌は組織内(導管)で繁殖しながら胞子を水の流れに載せ葉の先端部に送るようです(専門書に書いていたと思いますが定かでないです)。すぐには発病せず潜伏し葉焼けや肥料切れなどで葉が弱ってくると発症し葉先の枯れ込みが生じます。

【耕種的防除】
土の中に流れ込んだ胞子で根の先端部に到達できなかったものは1ヶ月程度で死滅するようですが、越年しての感染は病斑上に生じた菌糸なので感染予防には薬剤散布するだけでなく、枯れた葉や袴をこまめに剪除することが必要です。また植え替え時にダメになった根を切り取ることも大切です。毎年の新芽に炭そ病が感染するのは親がどこかで病気を持っていることが多いです。バルブの接合部を通して感染しているかは解りませんが(フザリウムは接合部を通して感染する)、新子の葉や根からの感染は菌糸が発生している親株の病斑を除けることで予防できます。

【薬剤防除】
私が炭そ病の防除にアミスターフロアブルをやり始めて3年くらい経つと思います。それまで何となしに使っていたベンレートやダコニールが全く効果がなくなったために新剤として使い始めたのですが、これもそろそろ効かなくなってくるかなと思っています。ただこの3年間は他剤も使いましたが徹底的に炭そ病の防除と予防をやってきました。
せっかく出てきた新子に親株から移さないよう月に1、2回農薬散布をしています。

【おわりに】
炭そ病は腐敗病に次ぐ要防除病害です。寒蘭の生育が良いと表面には出てきませんが、ほとんどの所で蔓延していると思います。どんなに生育の良い蘭も古いバルブの葉先が枯れ込んだりしています。上に書いた慢性的な症状も結構見かけます。耕種的防除と薬剤防除を組み合わせることで上手に防除してください。

なお、根への過大な薬剤処理は、蘭菌を死滅させ逆効果となっています。緊急的なものだけにして通常は避けてください。生育が良いときに発症しないのは蘭菌が炭そ病菌を抑制しているのではないかと考えられます。

Posted by woods at 2011年10月14日(金) 19時04分   パーマリンク

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