2016年01月30日(土)
生物性3 [寒蘭の勧め(旧)]
植物を育てる方法は様々で土の使用を極限に減らした養液栽培から土の機能を最大に活用した有機栽培まで幅広い。
生物性から見ると養液栽培は土を使わないので限りなく0に近く有機栽培は微生物の餌が豊富なため生物性はMAXになる。
昭和の終わり頃、夢のような栽培方法として養液栽培が農業現場に出現した。多くの関係者が既存の栽培方法がこれに取って代わるだろうと思っていた時期があった。試験場やメーカーのデータ等では収量が飛躍的に増えると考えられていたからだ。
新しい農業として多くの農家が養液栽培に取り組んだ時期があったが、思ったほど収量は伸びず資材の高騰が農家を苦しめた。
試験場では比較的小さな施設で栽培するため換気や温度管理等が行き届き、小さなハウスだと光環境も良いため高収量を得ていたと思う。しかしながら現場では一定以上の規模がいるため管理が難しく特に夏場は高温になりやすく冬場は日照不足になりやすかった。
そのため目標の品質・収量に届かなかった農家が多かった。今思うに生物性を無視したような栽培方法は想定外の環境変化に対応できなくあまりにも脆いのではないだろうか。
土を使う慣行栽培では同じような施設で同じように環境不良になっても一定の収量を得ていた。
高知県ではナスやキュウリ、ミョウガやニラなどがハウスで栽培されていて私はハウスの土壌分析・診断にも関わったことがある。その中でやはり生物性を無視したような栽培をしている農家ほど悪環境に苦戦していた。化学肥料の量を制限したり堆肥投入等で土作りに力を入れている農家ほど夏場の高温障害や冬場の日照不作に対応できていた。
寒蘭にとっての理想の生物性を説明するのは難しいが、生物性を阻害する要因はいくつかあり、この阻害要因を一つ一つ排除することで理想の生物性が確保できるのではないかと思う。
Posted by woods at 2016年01月30日(土) 06時35分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
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