Woody note

土佐寒蘭の栽培を趣味にしているWoods@管理人のブログです。

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2011年10月12日(水)

農薬散布の意義 [寒蘭の勧め]

この時期に殺虫剤を散布していると言うといつも不思議がられます。
そして決まって薬害はないのか聞かれます。

そんなに驚かられることなのでしょうか?
私のサイトでは何度も紹介しているので常連の方はなんとも思われなくなっているとおもいますが、昼間出会う人たちは頑固に殺虫剤散布はダメだと考えているようです。

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画像は今日散布した農薬と葉面散布剤。
ロディー乳剤はハモグリバエやその他の花を加害する虫用。アミスターフロアブルは炭そ病の予防。アミノメリットは最近仕入れた蘭が根が悪く、葉から肥料を補給するため。
それぞれが2000倍となるよう混合しました。

(後ろのキンチョールは混ぜていませんよ(^_^;)

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農薬は右のポリ容器を使用。
約45リッター薬液を作っている。散布には7頭口の噴口を使っている。
ちなみに左のポリタンクは200リッターのもので、キトサンなどを灌注するときに使用。この時は噴口を灌水用ノズルに交換しています。

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ポンプは20年近く使っている電動のポンプ。配管のホースをつなぎ替えれば各蘭舎で散布が出来る。このポンプで最長40メートル先まで散布(灌注)しています。

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さて、タイトルの「農薬防除の意義」ですが(今回は炭そ病予防と兼ねていますが、炭そ病は後日述べます)、私がどういう目的でやっているかを少し長くなりますが書いてみます。殺虫剤は使わなくて済むのであれば使わない方が良いと思いますが、私の環境ではどうしても使わざるをえません。

寒蘭を加害する虫はいくつかあるりますが、加害されて最もがっかりするのが花時期の虫です。そのなかでは「トクナガハモグリバエ」が筆頭ですね。
この虫は多食生で、どこにでもあるような雑草を餌としています。寒蘭には花芽が数センチほど伸びる、硬い花芽の袴から柔らかな蕾が覗き始めた頃、蘭舎の外部から親が飛んできて産卵します。時期的には早い花であれば8月上旬、遅い花であれば10月中旬頃です。年により多発したり全くいなくなったりしています。野外では餌となる雑草がある限り繁殖しているようです。
成虫は2ミリほどの長さで、ほんの少しの隙間から入ってきます。よく蘭舎の開口部に4〜5ミリ目の防風ネットを張っていますが(私も第二蘭舎は全面張りました)、この程度の編み目では簡単に侵入します。

画像は第一蘭舎の開口部ですが、ほとんどの虫は通り抜けられる大きな編み目です。(明らかに防虫にはなっていません。トクナガハモグリバエから見れば防風ネットでも同じように見えるかもしれません)

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第一蘭舎も開口部の何カ所かは防風ネットを張っていますが、基本的に窓は5センチ目の金網を張っているだけです。
なぜこんなことをしているかというと、蘭舎に入った虫が簡単に外に出られるようにしているからです。

虫を外から入らさなくするためには、密封性の良い温室で開口部に0.4ミリ〜0.2ミリ目の防虫ネットを使用する必要があります。入り口は最低でも二重にし人の出入り時に虫が入ってこないよう細心の注意を払わないといけません。
花芽の伸張が残暑厳しい時期になる寒蘭でこんなことは出来ません。
そこでどうしても農薬での防除が必要になるのです。

私が窓をほとんど開放状態にしているのは、虫が入り込む危険性はありますが、入り込んだ虫が容易に外に出られるようにと考えているからです。仮に防虫ネットを張っていて、なんらかのひょうしで虫が侵入してしまえば、その虫は外には出られなくなり施設内の作物を加害するということに成りかねません。密閉した施設内での農薬散布では、農薬が効かない虫の被害に苦しんでしまうことになります。

それと今回のロディー乳剤もですが、アディオン乳剤も害虫の忌避効果の高い農薬です。花芽だけでなく蘭舎の至る所に散布することで、蘭舎に虫が近づかないようにしています。

皆さんが心配する薬害ですが、いまのところ全く見られません。
よく「○○という殺虫剤をこの時期の花芽に散布してかまわないか?」と訊かれますが、これには「解らない」と言っています。それは訊かれた相手の環境や散布方法がどう言うものか見当が付かないからです。
薬害の発生は環境により違ってきます。散布方法によっても異なります。当然メーカーは薬害の出る農薬は作っていません。薬害が出ないように希釈倍率など細かな使用方法も定めています。
定まった使用方法以外の使い方をした場合にほとんどの薬害は出ています。

また、自分は少々薬害がでても虫に食われて全く花が見られないより、少しばかり奇形になっても見られた方がいいと思って散布を続けています。防除はハモグリバエを主体にしていますが、8月上旬から農薬散布することでカイガラムシや、これから発生するガ類の被害も予防できています。蘭舎からはナメクジもまったくいなくなっています。

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この画像は7頭口のノズルからの噴霧状況です。
かなりな圧力で噴霧されています。

長くてくどくなりましたが、今日も昼間、農薬散布について訊かれました。どんな農薬が良いのか、こちらは殺虫剤のことかと一生懸命説明しているのに、結局「殺虫剤は怖いので散布しない」で終わっています。これから本格的に寒蘭栽培を始める方は、農薬散布に目的と意義を持って取り組んで欲しいものです。(寒蘭の勧め)

Posted by woods at 2011年10月12日(水) 19時25分   パーマリンク

2011年10月11日(火)

支柱外し [寒蘭の勧め]

「寒蘭の勧め」のなかで先に支柱立てを紹介しましたが、今回は支柱外しです。どのタイミングで外すかによってその後の管理に大きく影響します。

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自分が外すタイミングはこの当たりです。

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花間が空き蕾が傾き始める頃です。

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この時点で正面を決めます。
こちらがいいでしょうか。バック木の面です。

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理想は新芽が展開している面が正面になると良いのですが、なかなかそうはなりません。
正面とは第1花(下の端の花)と頂花(一番上の花)が前を向く方向ですが、この蘭はこちらが正面になると良い感じがします。新芽は右側になるがちょうど同じような大きさの1年木の葉の間に来ます。見ていて違和感がありません。
バック木の方が正面になっていると見苦しく展示会では減点の対象となります。

正面が決まると花軸の傾きや曲がりを手直しします。花軸の傾きは株自体を傾けて修正できます。または針金で元を縛っても良いです。花軸の曲がりはこの時点であればハンドパワーでかなり補正できます。また蕾の向きも修正できます。第1花と頂花が別方向を向いているとどちらが正面か解りません。できるだけ合わせるようにしたいです。

ここまで決まればあと2週間。開花を楽しみに待つだけですね。


Posted by woods at 2011年10月11日(火) 21時40分   パーマリンク

2011年10月05日(水)

卓上の一鉢 [寒蘭の勧め]

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私は寒蘭の花をどれだけ楽しんできたのだろうか。
ここ何年も展示会で上位入賞することに情熱を傾けていたが、それが私の寒蘭作りの楽しみであったのだろうかと自問している。

先日撮った写真だが、なんとも卓上の一鉢は風情があって良い。

Posted by woods at 2011年10月05日(水) 22時04分   パーマリンク

2011年09月29日(木)

無消毒鉢の使い回し厳禁 [寒蘭の勧め]

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先の記事「植え替えのポイント」のなかで簡単な鉢の消毒方法を紹介したように、自分は鉢を再利用するときは全部消毒しているように思われたかもしれないが、実際は病気の心配ない鉢はそのまま使ってきた。


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以前はほとんどをこの方法で消毒していたのだが、考えてみると去年も今年も一度もしていなかった。根の悪いのも当然かもしれない。

鉢を簡単に水洗いして、ケミクロンGの1000倍液へ10分間浸漬による消毒。
土が付いたままの鉢を浸けても効果はあると思うが、一応浸ける前には水洗いをしている。この作業が面倒で何年も手抜きをしていた。

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ケミクロンGは農業用の容器や用土の消毒剤である。ほぼ完璧に病原菌を滅菌できる。
成分的にはプールの消毒剤と同類。
1000倍液でもやけどを起こすので、使用時はメガネやゴム手袋が必須。液に手をいれてもすぐには問題ないが、乾くと濃くなりやけどを起こす。このため液が手や顔に散った場合はすぐに水洗いする。

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引き上げて数日放置。
白い粉が残るが気にせずに植えている。気になるようだったらこの時点で水でかけ流すとよい。
日に当てると成分の塩素が飛ぶので早く使いたい場合は日向に干すとよい。

「無消毒の鉢の使い回し厳禁」
いつでも基本はしっかりやっていかないとダメですね。

Posted by woods at 2011年09月29日(木) 15時06分   パーマリンク

2011年09月28日(水)

根圏微生物 [寒蘭の勧め]

ラン菌のことはいろいろと書いてきましたが、ラン菌を含めて根圏微生物という世界があります。
みなさんあまり知らないと思いますが、近年非常に注目されている分野です。解らないこともまだまだ多いですが、というより解っていることが少ないと言った方が良いですが、ネットで検索すると色んな人の記述が見られます。
寒蘭栽培の上で参考になることがいっぱいありますので、いちど色んな人の記事を読んでみて下さい。
私も勉強中です。

http://www.ideshokai.com/navi/kikaku1.html
http://www.mizunobunkaen.com/neken.pdf
こんなところがわかりやすくて参考になります。

Posted by woods at 2011年09月28日(水) 21時28分   パーマリンク

2011年09月24日(土)

花芽管理 [寒蘭の勧め]

もう一ヶ月もすると花時期ですね。いよいよ本番が近づいてきました。この時期は花芽をムシに食べられないようにすることはもちろん、花軸が曲がらないように伸ばすことも大切な管理になってきます。

展示会では曲がった花軸では、審査でどうしても減点され上位入賞が難しくなります。家庭用なので花軸は曲がっていても良いじゃないかという人もいますが、ほったらかしで曲がったのでは魅力が半減します。放任で咲かせた花は自然咲きで良いようですが、鉢植えしていること自体が不自然ですのでもう一細工して、その花の魅力を引き出してあげたいものです。花軸を真っ直ぐすることで、見違えるほど良くなります。
(いつかは意図的に曲げて生け花的観賞をするようになるかもしれませんが・・)

花軸を真っ直ぐ伸ばすためにはやっぱり支柱立てが必要です。他の方法もありますが、鉢を回したり、開花してから花軸をいじったりするより、支柱立てが一番楽で良いのじゃないかと思っています。立てるときはしんどいですが、花配りをして蕾の方向が決まるとその後はほとんど手が掛かりません。花軸が伸びて最後の蕾が傾き始めたころが支柱の外し時ですが、ここまで真っ直ぐ伸ばしていると支柱を除けても花は自然とまとまります。
よく展示会当日(会場)まで支柱を立てている人を見かけますが、会場で支柱を外してから姿勢直しにバタバタしています。

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画像は支柱を立てた直後
昨日今日と一気に200本ほど支柱を立てた。基本的な支柱立ての方法は今までも何度かブログに載せているのでそちらを見てください。

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初めはこんな感じで花茎の元から縛っています。
元の方は硬くなっていますが先は柔らかく折れやすいので注意して下さい。

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花芽が上部に伸びるにつれて上へ上へと縛っていきます。

寒蘭は花軸を真っ直ぐ伸ばすことで花の魅力が引き出されているのではないでしょうか。

Posted by woods at 2011年09月24日(土) 19時26分   パーマリンク

2011年09月18日(日)

植え替えのポイント [寒蘭の勧め]

今回は植え替えの仕方と考え方をまとめてみました(カテゴリ「寒蘭の勧め」の流れの話になり、内容的には既出のものです)

地元でも「植え替えは何時が良いのか」「この時期植え替えして構わないのか」とよく聞かれますが、私はこれには答えに困ってしまいます。いつも「したいときにすれば良いのじゃないですか」と素っ気ない返答になってしまい、相手を怒らしています。

聞いている人は、植え替えに適した時期はいつがいいのか、こんなときに植え替えして病気になってしまわないのか心配していると思うのですが、なかなかこの時期が良いですよとか、ダメですよと言えません。

私は植え替えの良い時期、植え替えして大丈夫な時期というのは無いと思っているからです。反対に目的があって植え替えするのなら何時しても良いと思っています。ただ植え替え時の注意点・基本事項をしっかり守ってもらわないといけませんが。

私は8月下旬から9月中旬までにかなりな数を植え替えしています。
目的は「開花が見込まれた株なのに花が来なかったものが、どんな要因で花が付かなかったか原因を探ることと、来年に向けて対策をいち早くとること」です。

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この株は6芽あり、新芽は5枚葉で親より大きい。画像ではわかりにくいがバックの3芽はやや黄化し痛み始めている。

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根を見ると何カ所か傷んでいる所があった。

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前3芽と後ろ3芽で割ったが、後ろは根の多くが傷んでいた。
前も1本の根の途中が黒変し皮層がスカスカになっていたため、思い切って剪除。

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土を新しいものにして植える。

この株では自分なりに原因は【これだけ大きな新芽を付けてしまうと、根痛みがあるこの蘭にとって花芽を付ける余力がなかったのだろう。】対策は【バックを外し悪い根を切り取った。】ことで納得なのだ。

花芽が付かない原因がどうしても考えつかないものも多いが、根の状態を確認し傷んだところを取り除き、傷んだバックを割ることだけでも一日でも早くしたほうが良いと思っている。(寒蘭の病気は親株からの持ち込みが多い。親株の葉や袴などの枯れこみに菌糸が付着して越年し翌年の感染源となっている。)

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ここからは植え替えの注意点になるが、まずは鉢の簡単な消毒方法

ガスコンロの上に網を敷いてその上に鉢を逆さに置く、サナは鉢の底に載せる。中火〜強火で1〜2分ほどあぶる。鉢から水蒸気が吹き出してくる。この蒸気で菌は死滅する。
先ほどまで植えていた鉢を洗わずにそのままあぶっているが、乾燥した鉢だとひび割れするかもしれない。

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癒合剤は必ず使用

バルブの接合部分はハサミは使わずに手で割って、その切り口に癒合剤を塗布する。トップジンMペーストを塗る方法もあるが、こちらは物理的に傷口をふさぎ、病菌の侵入を阻止する。切り戻した根にも塗ると良い。

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ハサミはバーナーで焼く

新聞紙と軍手は必需品ですか、錆びたハサミも必要。
以前、ハサミが錆びているので人に笑われたことがある。もっと良いハサミを買えと言われた(^_^;)
新聞紙と軍手の使用方法はわかりますよね。一鉢一鉢使い捨てが原則。

このあたりでフザリウムを移している人も多い。

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土は作り置き

袋から出してそのままの乾いた土を使うと根痛みを起こす心配がある。
理想としては使う前1ヶ月から水を掛けて土を馴染ませておくと良い。

(土の再利用は考えない方が良いと思います。消毒の方法もありますが、蘭の生育を考えると新しい土が良いです。)

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消毒は鉢毎に

通常の灌水後、薬液の入ったジョウロで灌注。薬剤は必ず防除目的にあったものを使用。

以前はバケツに薬液を作っておいて何株も一緒に漬け込んで根の消毒をしていた。
これが病気を蔓延さす温床となっていた。言うまでもなくその薬液に効かない菌やウイルスはバケツの中で他の蘭に移ってしまう。

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あまり汚いので見せたくないが・・
私の作業台。この周りに一通りの物(道具)を集めている。

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植え替えした鉢はとりあえずここへ
左下の台へ置いている。

植え替えは思いついたら少しでも早いほうがいいと思います。

問題は病気にならないようにすることです。ただこれもどの時期が一番病気が少ないかということになると思いますが、真冬の一時期を除いて一年中病気は発生しています。実際、私も正月休みに植え替えすることが多かったのですが、植え替え適期としては冬場は中途半端だと思います。秋や初夏の根が伸張するときの前にある程度の処理をしておきたい株も多くあり、痛みの程度も時期によって違っています。
病気を心配せずに一年中植え替えすることが自分としては理想ではないかと考えています。

病気はここで紹介した基本的な作業をしていれば、そうそう起こるものではありません。植え替えの処理が遅れて病気のバルブを残している方がよっぽど危険です。

Posted by woods at 2011年09月18日(日) 21時22分   パーマリンク

2011年09月15日(木)

病気の見分け方2 [寒蘭の勧め]

腐敗病(フザリウム)の画像をアップしないで病気の見分け方というのもおかしいですが。

もしフザリウム菌ならスボ抜け症状の葉を引き抜いてビニール袋に入れておけば、3日もしたらカビだらけになってしまいます。
それとこの画像のように腐ったところからはフザリウムの胞子がうじゃうじゃ出てきます。

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画像の右上にかたまって見える三日月型の細胞がフザリウム菌の大型分生胞子です。
予防方法について質問がありましたが、予防するには、まずはどのように感染し発病するかを知ることですね。


寒蘭におけるフザリウム病の発生メカニズムは、私の推定の部分も入りますが・・・

この胞子は水で簡単に運ばれる。灌水で周りの鉢に飛び散り、土の中に流れて行くと、多くは死滅するが、運の良い胞子は目の前に根が近づいてくるとその刺激?で発芽し菌糸が根の中に侵入する。菌糸が根の中心の導管まで伸びてくるとその中で胞子を作る。この胞子が水の流れにのりバルブまで届くと、バルブの中で発芽し繁殖することで地上部を犯してしまう。これがスボ抜け症状として現れる。ただこれだけに留まらず、バルブの連結部を通してバックバルブまで感染し発症してしまう。最後には株全体が腐ってしまう。

菌が侵入できるのは根の先端の伸張中の根冠部のようだが、何らかの原因で傷があると傷口からも侵入してしまう。

スボ抜け症状は新芽に起こるが、これは新芽の根がフザリウム菌に犯されやすいとことに起因していると考えられる。2年生以上の根には先にラン菌が定着していて、糸状菌同士の拮抗作用でフザリウム菌を抑制しているようだが、1年生の根は最初は無菌であり、ラン菌を取り込もうとしているため、同じ糸状菌のフザリウム菌には無防備で簡単に侵入されてしまうのではないだろうか。

また、古い根であってもなんらかの原因でブザリウム菌の勢力が強まってしまうと菌糸が侵入してくる。2年生以上のバルブではズボ抜け症状は見られないが、代わりに、葉がバルブの元から黄化し少しの刺激でぱらりと落葉する症状が見られる。道管やバルブの中で菌糸が増殖してきて道管を詰まらせてしまい、地上部に水を送れなくしてしまうからで、初期症状として葉が何となく生気を失せて萎れてくる。こちらもバルブの連結部を通してバックバルブも感染してしまう。(反対にバックの方から症状が出て新しいバルブに移っていくこともある)

フザリウム病で問題になるのが、発病したら株全体が枯れるまで収まらないことだが、これが1〜2ヶ月の短期間に留まらず年を越えて発症していくことがある。
それと2年生以上の根では感染してから発病するまで長期間(数ヶ月から数年)かかっているようだ。
さらにやっかいなのは、発病した株の残渣が感染元であるばかりか、胞子の状態で越年し数年間は感染する危険性を持つことである。
胞子はほとんどが数ヶ月以内に死滅するのだが、なかに厚膜胞子となって数年生きながらえる物がある。この胞子もそのままでは、土の中で栄養となる物がない状態では発芽しないが、根が目の前に近づいてくると根から分泌される養分で発芽し根を犯してしまうこととなるのだ。

残渣は発病株を処分すれば良いが、厚膜胞子が潜む可能性のある土や鉢は新しいもか消毒済みのものを使用する必要がある。
これでも完璧でなく、親バルブのどこかに付着している可能性もあり、いつか土の中にこぼれて根に遭遇するかもしれない。とてもやっかいな病気なのだ。

9月25日加筆
腐敗病は、症状的に急性なもの慣性なもの色々ありなかなか判断が付きにくいと思いますが、スボ抜け症状を認めたときは速やかに正常な蘭から遠ざける、隔離すると言うことを徹底し、繰り返すことで根絶できる病気です。
腐敗病かただのズボヌケかと思いながら何時までも蘭舎に置いておくことが、この病気を蔓延させている大きな要因です。

Posted by woods at 2011年09月15日(木) 21時52分   パーマリンク

2011年09月14日(水)

病気の見分け方 [寒蘭の勧め]

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この画像は検鏡してもフザリウム菌や炭疽病菌らしきものが見つからなかった事例です。

腐った部分に僅かに正体不明の菌糸が見えたので病原菌の菌糸かとかと思い、ビニール袋にいれて様子をみた。3日後に黒褐色に変質した所は2,3倍に広がったが、菌は見つからなかった。


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今年のスボ抜け症状のなかで、袴まで腐った物はフザリウム菌がいたが、袴やバルブが正常だったこの鉢からはかフザリウム菌や炭疽病菌は見つからなかった。

なぜ、スボ抜けになったかは不明ですが、腐敗病や炭疽病でなかった事例の紹介です。


フザリウム菌による腐敗病は、当然ですがどこかに感染した経緯があり、病気を貰った可能性のある時期が推測され感染したのは「ああ、あの時かな」と思い当たるものです。
この鉢は小苗の時から5,6年育てたもので、腐敗病が発生した株の近くにも置いたこともなかったので、なっとくなのですが・・・

よくあるのは、寄せ植えの中で他の株が先に腐敗病に犯されていた場合です。数本の中で1本発病して引き抜いて処分しても、残りの他の蘭に感染していることがあります。数ヶ月〜1年前までは感染の危険度は大ですが、2〜3年前であっても感染の可能性はあります。

Posted by woods at 2011年09月14日(水) 22時08分   パーマリンク

2011年09月06日(火)

ラン菌根菌4 [寒蘭の勧め]

しばらく更新出来ていなかったです。
申し訳ないです。
9月にはいって本格的な植え替えを始めたのですが、根が思ったような出来でなく落ち込んでいました。
二年続きの酷暑でだいぶやられています。秋以降の回復を期待してここ何日か作業していました。

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見飽きたと思いますが、細胞内でかたまり始めたラン菌根菌の初期の菌糸。

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細胞内が菌糸だけの細胞に隣接する細胞(ペロトン)

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菌糸がはっきりとわかる。
我ながらベストショットですね(^_^)v

Posted by woods at 2011年09月06日(火) 21時26分   パーマリンク

2011年08月28日(日)

ラン菌の働き・ショウガ根では [寒蘭の勧め]

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ショウガ根を観察してみた。
これら4枚は実体顕微鏡を覗いたもの。
肉眼で見ても表面に色んな物が付着しているのがわかる。
そのなかで白い糸状の物に注目。

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拡大
菌糸のようにも見えるが太すぎる。
ラン菌の菌糸はこんなに、普通の菌糸もこんなに太くはない。

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さらに拡大
半透明だ。

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もっと拡大
カビではない。

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こちらは上の箇所を輪切りにして生物顕微鏡で見たもの。
根と同じように中心柱がある。(右上のかたまり)
ラン菌やペロトンは中心柱の近くには見えない。

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こちらは表面に近い方。
ペロトンが多数見つかった。

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さらに外側。
実体顕微鏡で見た半透明の糸状のものが、塊でくっついている。

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別の箇所
こぶ状になって糸状の物が生えている。一番上は菌糸のように見える。

全体がペロトン近くにあり菌糸で繋がっているようだ。

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拡大
こぶの中に本体が入り込んでいる。

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さらに拡大
糸状の物はかなり太い。

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こぶの中
菌糸らしき物がペロトンの方に伸びている。

ラン菌は完全世代が不明でリゾクトニア(Rhizoctonia)の一種と言われていたが、完全世代が解明され担子菌のTulasnellaやSebacina等に相当することがわかっているようです。
今までは菌糸ばかり捜していたが、この糸状の物がTulasnellaやSebacina(菌糸以外の組織)ではないだろうか。

ショウガ根ではラン菌ペロトンから伸びているこの外部組織が、根の周辺の無機物や有機物を取り込んで栄養にしていることが容易に推測されるほど、ショウガ根の外部に存在している。

補足この外部組織は担子菌の根状菌糸束のようです。
ラン菌は担子菌であることが確認されています。
Rhizoctonia repensは
不完全菌
のあつかいだった。

Posted by woods at 2011年08月28日(日) 14時36分   パーマリンク

2011年08月27日(土)

ラン菌の働き [寒蘭の勧め]

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二年生以上の成熟した根にはこの画像のような、デンプン粒?(未確認)の詰まった細胞が見られる。これは葉が正常で枯れたりしていないバルブの根に多くあり、葉が枯れたり痛んだバルブの根にはほとんど見られない。

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この細胞は中心柱まわりには全体的に多くあるが、周辺には少ない所やラン菌ペロトンと混在している箇所がある。

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ペロトンは果たして外部から栄養を取っているのだろうかと言う疑問が出てきた。蘭の根には毛細管がないためラン菌の菌糸が根被の外部に出て水や無機物の吸収という役目を果たしていると言われているが、成熟根にはその痕跡が見あたらなかった。1年生の根には無菌の根に外部からラン菌が侵入して増殖するとき菌糸が見られ、2年生の若い根に僅かに確認できたが、成熟根では外部に確認できなかった。(成熟根で根の外部に菌糸のネットワークがないと決めつける訳でなく、あるとは思うが簡単に見つからなかった。農薬散布の影響で用土中に菌糸が少なくなっているのかもしれない。)

成熟根ではラン菌自らが外部から栄養素を取り込み増殖する(一部はあるかもしれないが)のではなく、蘭の根が吸収した無機物や葉で光合成したデンプンを栄養として増殖しているのではないだろうか。(最終的にはペロトンは分解されて消化吸収されるようだが。)

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【デンプン粒とペロトンが混在している場所の拡大】
ペロトンや菌糸のまわりでデンプン粒が小さくなっているように見える。


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色々観察して思ったことだが、
何らかの障害や管理不良で葉からのデンプンや根からの水や無機物・有機物の供給が無くなるとラン菌は簡単に死滅するのではないだろうか。それと同時に皮層も破壊され死に至るのでは。

バルブが古くなって根が枯れていくことは仕方がないことだが、栽培管理が悪くてラン菌を死なせてしまうと、皮層も簡単に破壊され死滅するのではないだろうか。(もともと完全な無菌状態で根を出せば、こんな心配はないと言われそうだが、どんなに農薬で消毒しても無菌とはならないようだ。)

【補足】
寒蘭の1年生の根は最初ラン菌のない無菌状態であり、外部からラン菌を取り込もうとする。
鉢や用土、肥料等にラン菌がいない場合、親の根から伸びた菌糸を取り込む。薬液の散布や灌注で用土内に張った菌糸が死滅しても、親の根の皮層細胞内のペロトンが菌糸を再生し新根まで到達する。
1年生の根は侵入してきたラン菌が一つでもあるとそれを増殖し増やしていく。数年経った成熟根はペロトンとなったラン菌で多くの皮層細胞が埋まる。

Posted by woods at 2011年08月27日(土) 14時22分   パーマリンク

2011年08月26日(金)

ラン菌と皮層細胞 [寒蘭の勧め]

【鉢植えのランを水耕栽培すると,出ていた根は発根しかけの根を除いてほとんどすべてが褐変枯死してしまう。これは濃度障害を起こしたのではなくて,根の中にいる共生菌がなんらかの原因となっているものと考えられる。それは,フラスコ出しの幼苗では酸素補給をしない水中に根を入れておいても死ぬことなく水耕栽培が可能であること,さらには水耕して根の枯死した鉢植え個体をそのまま水耕し続けてバルブから新根を形成させると,水中で発根してきた根はラン菌が入らないまま伸長し,その後も水中で褐変枯死することなく水耕栽培が可能となり開花に至ることにより,共生菌は水中の根の中で皮層細胞と酸素を競合し,皮層細胞が死に至らせられるのではないかと推察される。】

画像(300x240)・拡大画像(1200x960)

【画像は死滅状態の皮層細胞】
この手の根は腐っているのでなかなか良い画像が撮れない。
初期は褐色から黒褐色に変質している。進むと腐敗して空洞となる。

蘭の根痛みにはいくつかタイプがある。
肥料障害で外皮がやられ次第に皮層細胞が壊れていくもの(根全体がやられることはなく一部が灰色に変質する)。皮層細胞だけが死滅し根被や中心柱はしっかりしていても中がカスカスになっていくもの(根の元から先端まで変質している場合が多い)。バルブや葉の異常から中心柱が黒変しているもの(病気)。など・・・・

上記も澤先生の記述だが、皮層細胞とラン菌は酸素の競合で自滅する関係のようだ。皮層細胞とラン菌の間で酸素の競合がおこると先に皮層細胞が死滅し、皮層細胞が死んでしまうとラン菌も生きていけない構造なのだろうか?ラン菌が先に死んでくれたら皮層細胞は死ななくても良いのかもしれない。

澤先生の記述は、根を水に浸けた事例だが、鉢の中でも起こっている。加湿による酸素不足も大きな要因だと思うが、ラン菌が皮層細胞を死に至らすのにはもっと複雑な関係があるように思えてならない。

Posted by woods at 2011年08月26日(金) 22時30分   パーマリンク

2011年08月24日(水)

根被の働き2 [寒蘭の勧め]

澤先生が【消化中の根菌】と言っていたものは「皮層の細胞内に菌糸が侵入し、中でとぐろを巻いたり鞠のようになったりと変形し、ペロトンと呼ばれる構造を作る。最終的には菌糸は分解され、植物に吸収される。共存期間中には物質交換も行われ、基本的に無機栄養も有機物も菌から植物に移行する。」というペロトン(菌毬=キンモウとも言う)ですが、今までの観察の中で初期の段階であるもの、成熟途中であるもの、成熟していると思われるものの3タイプ(便宜上タイプ1、タイプ2、タイプ3とします)を確認しました。

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今までの観察の中では、新芽の根(8月まで)には3タイプとも見ることは出来なかった。外部から侵入してきたと思われる菌糸は、数は少なかったが見つかった。2年生以降の成熟した根には外部から侵入したと思われる菌糸は見つからなかった。

タイプ1は2年生の根に多く、3年生、4年生になるにつれてタイプ2、タイプ3が多くなった。明らかにタイプ1〜成熟してタイプ2、タイプ3へと大きくなっているように思えた。

【私が考える根被の働き】
新芽の根はラン菌を持っていないため、外部からラン菌を取り込もうとするが、硬い表皮のある先端部分はラン菌が入り込めない。少し上部は表皮がなくなるためラン菌の侵入が可能となる。ただし根が成熟してくると根被や外皮はだんだんと硬くなり入り込めなくなる。
表皮が無くなった直後は根被や外皮も入りやすい硬さであり、ラン菌を確保することが出来る。柔らかさだけでなくこのときに根被の細胞は何らかの栄養素を持った餌場となっているのではないだろうか。

この時は他の菌にも無防備なため色んな菌が寄ってきて、その結果、細胞が褐変している。

いったんラン菌が入り込むと(この数は凄く少ない)、根の生育と共に内部で増えていく。あたかも、寒蘭の根が自分の意志で少数精鋭のラン菌を選りすぐって確保し、それを何年もかけて大事に育てているように思える。

夏場には伸張中の根が先端部及び株もとは白いままで、途中が茶褐色に変色しているのをよく見かける。寒蘭が表皮を無くしたばかりの根被を餌にラン菌を呼び寄せようとして、他の雑菌も呼び寄せたことで根被を必要以上に荒らされた結果ではないだろうか。

初期の根被には寒蘭栽培で後々まで影響する大事な使命が与えられているのだ。

Posted by woods at 2011年08月24日(水) 22時06分   パーマリンク

2011年08月23日(火)

根被の働き [寒蘭の勧め]

【ランの根は表皮と外皮との間に原表皮の細胞が並層分裂してできた根被細胞が数層ないし十数層重なって,根の内部を保護していることも特徴の一つである。この根被細胞は分裂後しばらくはその内部に細胞質や核などが見られるものの,それらはすぐに消失して細胞壁の繊維質だけが外壁となって残り,中は空洞化したスポンジ状の死んだ状態の組織となる。根被は乾燥条件下では空気が入っているだけである。ランの気根が白く見えるのはこの空洞のセル内の空気での太陽光線の乱反射によるものである。】

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これら3枚の画像は新芽の根の先端の様子である。
上記の説明は澤先生の記述でその通りだと思うが、根被には先生がふれていない重要な役割があるのではないだろうか。


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画像の根は先端から約2センチのヶ所。真っ白でまったく痛みのない根被をしている。先端部の根には表皮らしきものが見える。表皮があることによって根被を保護しているのではないだろうか。

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根被と皮層の境の外皮は細胞の形がバラバラではっきりしていない。

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こちらは、先端から3〜4センチのヶ所。
茶黒くなっていて表皮は見えない。

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茶黒くなっているのは根被のみ。
丸い粒は空気の泡。

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皮層や外皮の細胞はまったく変質していない。
形も先端部よりしっかりしている。外皮によって内部を保護している感じがする。

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根被が褐変した部分の輪切り。
切ってしばらく置くと、根被細胞が乾燥して空気が入っている。
空気が入るとなんとなく白っぽく見えてきた。

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ピンセットで根被をつまむと簡単に取れる。

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とれた根被。

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この茶黒くしているのは何だろうかと見てみると、
根被の表面に黒や茶色い塊が付着していたり、細胞が茶褐色に変色していたりと原因がよくわからない。

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根被細胞の中で一部の細胞が茶色くなっている。全体的にも細胞壁が褐変している。

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細胞は壊れていない。右上の白く見えるのは外皮細胞。根被細胞は全体的に茶色い。

Posted by woods at 2011年08月23日(火) 22時48分   パーマリンク

2011年08月21日(日)

放射温度計 [寒蘭の勧め]

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照度計は必須だと思うが、この放射温度計もとても便利だ。
自分が現職の頃は作物の葉温測定には接触型の表面温度計を使っていた。これは非接触型で簡単に表面温度が測定できる。
非接触型温度計は以前は何十万円もして手がでなかったが、今では数千円で手に入る。

この機種はレーザーポイント機能付きで距離12に対して直径1の範囲が測れる。12センチ離して測ればレーザーの赤丸周辺直径1センチ範囲の温度がわかる。

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室温35℃の蘭舎でも蘭の葉温は2、3℃低い。

蒸散による葉温低下は気孔の開き具合だけでなく、湿度や風に大きく影響される。湿度100%では蒸散作用は機能しない。
なお、照度0であれば葉温は室温と同じになる。

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充分水分のある鉢は水の蒸散作用で室温より5℃以上低い。
カラカラに乾いた鉢は明るい蘭舎ほど高温になる。


購入してみようと思う方に注意!!
レーザーは照射しすぎると組織を痛めます。測定は短時間でしてください。当然、人に向けて照射しないこと(^o^)

Posted by woods at 2011年08月21日(日) 10時53分   パーマリンク

2011年08月19日(金)

照度計の勧め2 [寒蘭の勧め]

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この画像は照度約800ルックスの時の気孔

気孔は完全に閉じている。

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こちらは照度約10,000ルックスの時の気孔

気孔は空いている。中央部が詰まっているように見えるが、これは空気の泡。

画像(300x199)・拡大画像(1000x665)

右の二つの画像は同じように見える。
カメラをプログラムオートで撮った写真だ。
カメラが露出とシャッタースピードを自動で調整して自然な明るさに見えるよう調整している。

上は今朝6時45分、下が11時05分に撮影した画像。
この時の照度が、それぞれ平均800と10,000だ。

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画像(300x199)・拡大画像(1000x665)

同じように左画像は
上は今朝6時46分、下が11時11分に撮影している。
この時の照度が、それぞれ平均700と8,000だ。



画像(300x199)・拡大画像(1000x665)

人間の目は精巧に出来ていて、このカメラと同じことをしてしまう。

自分が寒蘭を始めた頃、先輩の蘭舎をまわり遮光の仕方を習った。
そのときに、明るさの判断に迷った。同じような明るさに見えても、ある人は明るくしないといけないと言い。別の人は暗くしないといけないという。

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明るさだけは目だけに頼ったら判断を誤ってしまう。

ということでタイトルの「照度計の勧め」になるのだが・・・

ちなみに、左は放射温度計、右が照度計。
照度計の示す700ルックスは室内の白色蛍光灯直下の数値。40型蛍光灯×2の134センチ下です。
本が楽に読める明るさですが、植物を育てることは出来ない。かなり明るい蛍光灯ですが、30センチ以内に置かないとまともに育つ明るさは確保できません。

Posted by woods at 2011年08月19日(金) 14時36分   パーマリンク

2011年08月18日(木)

照度計の勧め [寒蘭の勧め]

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手元に古びたコピーが1枚ある。
これも出所はわからなくなっているが古い農学書にあったものだが、紫外線量」「照度」「日射量」の測定値だ。1957〜1959年の南中時、水平面、雨量0 のときの季節変化を示している。

まだ寒蘭をどう栽培しようかと試行錯誤していた時期、目にした専門書の中にあった。

上の図の照度分布を、栽培歴のなかに落としてみた。
寒蘭の栽培管理に役立つ情報はないかと専門書を読んでいてこの分布図を見つけたとき「この照度変化にもとづいて寒蘭の作業歴を作って見たらおもしろいな」とふと思い立った。
当時、ハウスみかんの栽培指導にかかわっていた関係で、ハウスみかんの栽培歴のような感じで、どうにか寒蘭の栽培歴が作れないものかと思ったのだ。

画像(300x211)・拡大画像(1200x846)

画像は最初のバージョン
【土佐寒蘭栽培暦(Ver2.0)蘭舎内ビニール被覆・小(臨時)加温栽培 栽培目標 年間出芽1.5芽 新芽の当年開花(花芽分化期前バルブ充実)西南蘭培研究同好会 H.4.4】
最初と言ってもVer2.0となっているが、この暦が外部に出たのはVer2.3の大方愛蘭会バージョンからだ。
それまでは自分用だった。懐かしい資料だが、「年間出芽1.5芽」を目標にするなど若かりし頃の大きな意気込みが感じられる。

画像(300x211)・拡大画像(1200x846)

実際に照度を測った記録が出てくるのが、平成5年から。
右の画像は平成5年の主な作業記録を栽培歴に書き込みしたもの。
こまかな照度は記載していないが、「寒蘭受光照度 平均6,000〜12,000ルックス、最低3,000〜4,000、最高15,000〜20,000」とある。別のノートには9時前から4時過ぎまでの舎外と舎内の照度を30分間隔でびっしりと記録している。それらのまとめの数値だと思われる(自分が書いたものだがどう集計したかまったく記憶にない)。

栽培歴を作ったとき先の「気孔の開閉と葉焼け」と「気孔の開度と光合成」を知っていたかということも記憶から飛んでいるが、 限界照度(表現と定義も定まっていない)のレベルがバージョン毎に違っているのでまだ知らなかったのではと思う。

*資料を読みながら思い出していると、「気孔の開閉と葉焼け」と「気孔の開度と光合成」のコピーは次の赴任地の事務所でしたものだった。


「気孔の開度と光合成」の記述【この気孔の開度がどの程度光合成量に影響しているかについては今後の課題である。】これも先生は後に解明していたと思う。(どこかに記述があったと資料を見返したが見つからなかった)

自分の記憶では3万ルックスまでは光が強いほど光合成量が多くなっていたと思う。寒蘭もイチゴ並みに照度が必要なのかと感心して資料を読んだことを覚えている。

Posted by woods at 2011年08月18日(木) 22時36分   パーマリンク

2011年08月17日(水)

気孔 [寒蘭の勧め]

このシリーズはカテゴリー「寒蘭の勧め」として書いています。
寒蘭を栽培するに当たって参考になる考え方や根拠を載せようと思っています。(あとで見返すときはカテゴリーで見るといいです)

寒蘭栽培で最も参考となる記述を紹介します。
農業の専門書(どの本だったか忘れた)からコピーしていたものですが、これも澤先生が書いたものです。

1.「気孔の開閉と葉焼け」
 この気孔の開閉は葉焼けとも密接な関係がある。真夏に灌水を怠り,ハウス内の換気が悪いときなどに葉焼けを起こしやすいが,これは根部すなわち鉢内の乾燥が大きな要因となる。ランの植物体は,50℃になれば5〜10分ほどで組織は死に至るが45℃程度までは長時間でなければ死ぬまでには至らない。しかし根部が乾燥すると植物ホルモンのアブシジン酸が増加し,これが気孔を閉じさせて植物体外への水分の損失を防ごうとする。その結果葉からの蒸散が行なわれなくなるので,水蒸気になるさいの水が気化熱を奪うことによる葉温の低下が行なわれない。したがって太陽光が葉に垂直に当たる部分の葉組織は熱線により温められ葉温は気温よりも高くなり,50℃前後にまでも上がることにもなりうる。そうなれば葉中の蛋白質,すなわち各種の酵素が変性し,その部分の葉組織は枯死し,白い斑紋となる。逆に灌水により根部に十分な水分があり,気孔が開いていれば直射光下でも葉焼けにはなり難い。

2.「気孔の開度と光合成」
 光の照射量は光合成の反応を進めるためだけでなく,気孔の開度にも影響する。この点に関しては従来あまり問題にされていなかった。すなわちランが弱光下で生育の悪いのは,光合成に必要な光エネルギー量が不足することが重要視され,弱光下では気孔がほとんど開かないためにCO2が葉内に入り難いことが光合成を制限する前段階の要因となることが軽視されていた。この気孔の開度がどの程度光合成量に影響しているかについては今後の課題である。
 たとえばカンランでは1,000lx程度の白色光では気孔はほとんど開かないままで,2,000lxを超え光量が大となるほど気孔開度は大となり,1万5,000lxほどで最大となる。



1.どうして葉焼けを起こすか水分があって気孔が開いていれば葉焼けは起こさない

2.照度と気孔の密接な関係暗いと気孔は開かない

この二つから葉焼けを防ぐためには十分な水+明るくしなければならない

と言うことで次の記事は照度計の勧めになります(^_^)

Posted by woods at 2011年08月17日(水) 21時19分   パーマリンク

2011年08月16日(火)

カンラン 寒蘭の美と栽培 [寒蘭の勧め]

注文していた「カンラン 寒蘭の美と栽培 誠文堂新光社」が届いた。
かなりな古書だが表紙もしっかりしていた。

昭和四十五年十一月三十日第一版発行
昭和五十一年三月十五日第六版発行 

私の手元の本から1版新しかったが、目次は同じでおそらく中身も一緒だと思う。

画像(300x219)・拡大画像(1000x731)

Posted by woods at 2011年08月16日(火) 23時10分   パーマリンク

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