2016年01月09日(土)
化学性と物理性2 [寒蘭の勧め(旧)]
私が根土から自家製ダケに変更してから5年。ゼオライトを配合に加えるようになって1年4ヶ月。
そろそろ新しい配合土の成果が見えてきたかもしれない。
先日1年3ヶ月前に新しい土に植えていた太湖を植え替えした。
たまたまだろうが理想とする状態だった。
病的な白さでなく土に馴染んだ白さだ。
肥料痛みも過乾燥や湿害も見られない。保肥性・保水性・通気性すべてが上手くいかないとこんな根にはならないだろう。
この中でゼオライトの効果は何なのだろうか?
根が汚れるので焼赤玉土やホウセン、普通の赤玉土の使用をやめゼオライトにした経緯がある。
土には土壌溶液が土壌粒子と粒子の間に保持されているが、土壌の粒子が細かいと土壌溶液内に溶け出して水を濁らしてしまう。赤玉土などは特に水に溶け出しやすい。
寒蘭の根がその水を吸収すると根被が濾紙のような働きをし細かな土を根被の表面に蓄積してしまう。根被はスポンジ状の組織なので内部にも濁った水は入ってしまう。これが根被が茶黒くなる原因の一つになっていた(根圏微生物の死骸なども付着している)。
またそれまで使用していた白根土も質が落ちていて表面が黒いものが混ざっていたので、これも色を悪くしていたと思う。
参考:根費の顕微鏡画像
ここまででゼオライトの働き=土壌溶液を茶黒くしない。これははっきりしたと思う。
画像は画学生の分析事例だが、水を濁らさないのは化学性ではなく物理性だな(^^;)
ゼオライトの化学性の特性はCECの大きさにある。本当はこれが大事なのだが・・・
Posted by woods at 2016年01月09日(土) 19時41分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 2 )
2016年01月06日(水)
化学性と物理性 [寒蘭の勧め(旧)]
土の話もしたいがこれは簡単には説明できないところが多い。
化学性や物理性に関わることは学問的に確立されているが、これに生物性(根圏微生物)が加わると皆目わからなくなる。寒蘭は特に蘭菌と関わっている。これにより複雑怪奇な世界になるのだ。
ただ基本的なところは科学性と物理性なのでこのあたりはある程度考えておかないといけない。
土壌の化学性は土壌によって違っている。
土自体が単独組成から成り立っている物から複数の土が入り交じっている物など様々で地域ごとに特性がある。
右の表は土壌の化学性を示した事例だ。
この項目が解る人は少ないと思う。目にするのはpHくらいだと思うが、それぞれ植物を育てるに当たって重要な項目だ。イオン交換容量(CEC)やリン酸吸収係数等はどんな土作りをしないといけないかの指標だ。
右の表は市販土の分析結果。
土壌の科学性から言えばこれらの数値を踏まえて混合した場合どんな結果になるかを想定した配合が必要になる。(実際そんなことは一般の人には不可能だが)
土を考える場合化学性も重要だが物理性も大事になる。特に施肥と水管理には土性が関わってくる。
土性とは土の粒子の内、砂(0.02mm〜2mm)とシルト(0.002mm〜0.02mm)と粘土(0.002mm以下)がどのように混ざっているかだ。この混ざり方によって保水性や保肥力が違ってくる。
寒蘭に使っている土はほとんどは直径2mm以上の粒だが、実際は表面には無数に細かな粒子が付着している。寒蘭栽培でもこの土性を考えて栽培するかしないかは生育を左右すると私は考える。ようは寒蘭の土にどれだけシルトや粘土が混ざっているかだ。
細かな粒子は電気的にくっついている物があるので水で簡単には流れないが、洗濯機で洗うようなことをすれば流れてしまいただの石になる。そうなるともはや植物を育てる土壌とは言えなくなる。昔はそんなことを勧める人もいた。もちろん礫耕栽培で溶液をコントロールすれば植物は立派に育つ。ただ寒蘭をそれで立派に育てるのは難しいと思う。
化学性と物理性があって初めてどんな施肥や水管理が可能となるのだ。
言い換えれば化学性と物理性が解らなければ施肥や水管理のしようが無い。
ただそのあたりは経験と勘で植物の生育を見ながら柔軟にやることになるだろう。しかしそれは概して全然別の方向に走っている場合も少なくない。肥料を欲していないのに施肥をしたり、水が不足しているのに水やりを控えたりと逆のことをしでかすかもしれない。
化学性と物理性を理解していればそう言う失敗は起こさないと思う。
また難しいことを書いてと思われるが、土は簡単ではない。
寒蘭は栽培者により採光や湿度等の棚の環境が異なる。ハウス園芸作物等では基本的に大きく変わらない(ハウスでは他の人と環境を合わすのも容易だ)が、寒蘭は他の植物と比べると育てている環境は人によって大きく違っているという特異性の高い園芸だ。そんななかで土だけ真似してもその土が自分の環境にあっているのか自分の施肥や潅水の仕方で良いのかは解らない。年数をかけて試行錯誤で自分の栽培方法と蘭舎の環境にあった土にしていくしかないと思う。その一考に土壌の化学性と物理性を考慮してもらいたいと思う。
Posted by woods at 2016年01月06日(水) 00時00分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 2 )
2016年01月04日(月)
私の蘭土 [寒蘭の勧め(旧)]
今日は配合土を作った。
(画像はできあがりから逆順)
配合については今までも何回か紹介してきた。あまり大きくは変わっていない。最近変わったのはゼオライトが10→20kgになったくらいだろうか。
土のことについて細かな説明・うんちくはしてこなかったが、この潅水だけでも理由がある。
ただ散水して洗っているわけではない。乾いている土を湿らせているのだ。土を科学的に安定させているのだ。こうすることによって植え付け直後の根痛みを防ぎ活着を促進してくれる土になる。このあと、明日か明後日キトチンキ1000倍液を10リッターほど潅注する。これで1ヶ月ほど寝かせて配合土が完成する。
基本の配合は大きな違いは無いが試行錯誤で少しずつ変えてきた。現在はこの配合で落ち着いた状態だ。
自家製ダケ
大粒 約2.5袋
中粒 約3袋
小粒 約1袋
超高湿鹿沼土
大粒 1袋
中粒 2袋
小粒 1袋
さつま土
中粒 2袋
小粒 2袋
硬質鹿沼土
中粒 2袋
ゼオライト6号
1袋=20kg
どんな土を使っているかは誰もが興味を持つことのようだが、それぞれの土をどのサイズで組み合わせているかまでは考えているのだろうか。
どんな土かとはよく質問されるが粒の大きさについての質問は皆無だ。
私は土の種類はその時に手に入る物で良いくらいに思っているが、粒の大きさについてはその土を生かすも殺すも組み合わせなのでずっと大事だ考えている。
右の画像は混合する前に層状に積み上げたところ
上から
ゼオライト6号
さつま土小粒
超硬質鹿沼土小
自家製ダケ土小
見た目にもかなり細かな粒だが、これらが全体の1/3を占めている。
自家製ダケ土
大中小と3種類を作っている。
大粒はこのエキスパンダメタル2枚重ねを通る大きさだ。
ダケ土は第三蘭舎の敷地造成時に出た土をストックしていたものだ。
褐色森林土に分類されるもので手で崩れるくらいの堅さで灰色の粘土が混ざっている。寒蘭の自生地を掘れば地面の下にいくらでもある土だ。
ふるいを通る大きさに木槌で粉砕している。
Posted by woods at 2016年01月04日(月) 18時21分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2015年08月29日(土)
蒸散器 [寒蘭の勧め(旧)]
「ハモグリバエの蒸散器防除法」
効果は実証していないのでお勧めと言うことではないですが、簡単な方法ですので紹介します。
トイレ用芳香剤の容器を使用。
容器を空にしてきれいに洗って芯を干しておく。
この容器の場合ですが芯は強く引っ張り上げると抜ける。
芯には抜け防止の爪があるので切っておくと農薬の入れ替えが楽にできる。
使用農薬はアディオン乳剤(成分=ペルメトリン)
1,000倍液を使用。
今回は試しに1個でしたが、蘭を取り囲めるよう数個作ると良い。
有効期間は不明だが、一般に農薬は水に希釈すると徐々に化学反応が進み殺虫効果が落ちてくる。1週間もあれば良い方だと思う。
この農薬の使用基準に蒸散法はないので自己責任でお願いします。
Posted by woods at 2015年08月29日(土) 15時55分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 2 )
「斜めに伸びてくる花芽」の補正法 [寒蘭の勧め(旧)]
「斜めに伸びてくる花芽の補正」
5セン以上伸びていたら大丈夫だと思いますが、花芽の元をアルミ針金を使って垂直に起こします。新芽が斜めに出ているのを直す要領です。あまり短いときにやると花芽を折ってしまいます。
花芽が10センチほどまでなら一週間ほど縛っておけば針金を外しても固まっています。
花芽が長く伸び過ぎた場合は針金掛けをしてもなかなか固まらないです。針金を除けても斜めになってしまいます。
また、この方法で斜めに出た花芽を早めに起こしておくと、支柱立てを急ぐ必要がないです。
支柱を立てようかどうか迷うような時、私はこの方法でとりあえず花芽を真っ直ぐにしています。
Posted by woods at 2015年08月29日(土) 15時08分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 2 )
2015年08月09日(日)
イチゴ炭疽病と濡れ時間の関係 [寒蘭の勧め(旧)]
栃木県農業試験場のデータにこんなのがあります。
苺での試験ですが、
炭疽菌の入った水を噴霧後ポリエチレンの袋に入れて28℃の恒温器で培養(濡れ状態を保持)。時間別に袋から出し扇風機で15分乾かす。その後は通常の管理(底面給水)して病斑の発生と枯死状態を調べるというものです。
濡れ時間が6時間までは大きな差は無く少ないですが、それ以降は濡れ時間が長くなるほど病斑の発生量が増え48時間では7日後に半数、15日後には全部が枯れてしまっています。
Posted by woods at 2015年08月09日(日) 14時58分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 2 )
2015年05月09日(土)
花芽分化 [寒蘭の勧め(旧)]
花芽分化について質問があったのでまとめてみた。
寒蘭の花芽分化についてはわからないことも多いが、
下のような説明で概ね合っていると思う。
グーグルで「花芽分化」を検索するとこのページが一番先に出てきた。
どこをみてもこのような説明なので・・・・
なかなかわからないのでイラストを作ってみた。
バルブを「やかん」に例えてみると理解しやすい。
バルブが大きくなってその中に十分な養分が貯まって初めて花が咲く。
山苗を作っているとわかるが3、4年ではなかなか花は付かない。
多くが6,7年以上かかっている。
これは内的要因としてバルブが一定の大きさ以上になり、さらにその中に花芽を付けるに十分な養分が蓄えられなくてはならないからだ。
私は寒蘭の花芽分化時期は多くの蘭類と同様6、7月頃だと思っていた。しかしながら今の栽培方法を行っている中で5月の下旬、早ければ中旬には花芽が出来ているように思うようになった。遅くとも夏至までにはほとんどが完成しているようだ。
おそらく外的要因として長日に向かう環境が影響してくるからだと思う。
一方でこの時期花芽分化を妨げる働きをするものがある。
それは新芽の成長だ。
イラストのようにせっかく養分が満たされそうになっているのに葉芽が伸長してくるとそちらに栄養を取られてしまう。注ぎ口の壊れたやかんのように花芽分化にたりる養分が貯まらなくなるのだ。
対策としては言うまでも無く、大きなバルブにして新芽が少々伸びても養分が足りるようにすることだ。
山出し5年目辺りの微妙な株は、まずは新芽は1つにすることだ。
それと浮かれて早く芽を出させ過ぎないこと、花芽分化してから芽が出るのがベストだ。
Posted by woods at 2015年05月09日(土) 14時03分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 3 )
2014年07月01日(火)
アメダスデータ中村 [寒蘭の勧め(旧)]
6月の気温が気になったのでアメダスデータ四万十市中村をグラフにしてみました。
普通なのか異常なのか、気にしなくて良いのか・・・
今年は夜寝苦しくなくて良いのですが・・・
アメダスデータ大津と後免を比べてみました。
余談ですが昔はこんなグラフ作りをしょっちゅうしていました。
Excelで作成Photoshopで画像にしている。
短時間で出来ますので見てみたい所がありましたら作成します。
希望がありましたらコメント下さい。
Posted by woods at 2014年07月01日(火) 08時43分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 4 )
2014年06月28日(土)
YANMARのホームページ [寒蘭の勧め(旧)]
YANMARのホームページ に土壌微生物のことや土壌(肥料保持のメカニズムなど)をわかりやすく解説したページを見つけました。参考になると思います一度閲覧してみて下さい。
Categoryの
Vol.2=根圏微生物のことなど
Vol.5=CEC(陽イオン置換容量)のことなど
右下の「土壌診断」にはPHとECの簡易診断のことが記述されています。
一口情報
根被が褐色に変色するのは過湿であったり微生物と細胞が酸素を取り合ったりして細胞が酸欠になり死滅するからだと考えられがちですが・・・・(以前そう言う記述をしたことがあったと思いますが訂正します)
「根被細胞は分裂後しばらくはその内部に細胞質や核などが見られるものの、それらはすぐに消失して細胞壁の繊維質だけが外壁となって残り、中は空洞化したスポンジ状の死んだ状態の組織となる。」
このように根被は根の先端部分で形が決まってしまえばすぐに死滅してしまう組織です。過湿などからの酸欠に影響を受けるのは外皮から内側の生きた皮層組織であり、それらが白いままであれば過湿は全く心配することではないことになります。
Posted by woods at 2014年06月28日(土) 06時47分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 2 )
2014年06月21日(土)
混合液の作り方 [寒蘭の勧め(旧)]
正式な方法ではないが私の混合液の作り方を紹介する。
ゲッターなどの水和剤は水に溶くときは注意が必要。
少量の水で練り込むように粉と水を混ぜる。
良くかき混ぜて懸濁液を作る。
それに水を加えて薄める。
薄めた懸濁液を桶の水に溶かす。水の量は最終の薬液の1/3くらいの量。水を加えながらかよくき混ぜる。
次に加用する農薬もあらかじめ薄めた液を作っておく。
これを水を加えながら桶に少しずつ流し込みよく混ぜる。
さらに加用する場合も同じように薄めた薬液を作っておき、薄めた液を混ぜる。
水を足しながら作業を進め最終の薬液量とする。
本来なら3つの桶にそれぞれの薬液を作っておいて最後に大きな桶に3つを混ぜなければならない。
最初から最終の薬液量の水をためておいて、農薬の粉や液の現物を投入するのはNGだ。
Posted by woods at 2014年06月21日(土) 06時04分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
2014年05月15日(木)
葉が黄変してハカマを開いた蘭 [寒蘭の勧め(旧)]
のその後ですが、明日の朝にゴミ出しです。
何の病気か確定できていないですが、非常にやばそうな症状なので思い切って廃棄です。
*この写真はゴミ袋に入れてたのをぴっぱり出して撮影しています。
なぜ良いところを残さなかったかですが、どうなるか様子見にしていたからです。
外すならもっと早い時期にしないといけないです。ここまで置くと手遅れですね。
Posted by woods at 2014年05月15日(木) 18時24分 パーマリンク トラックバック ( 0 ) コメント ( 2 )