2011年08月26日(金)
ラン菌と皮層細胞 [寒蘭の勧め]
【鉢植えのランを水耕栽培すると,出ていた根は発根しかけの根を除いてほとんどすべてが褐変枯死してしまう。これは濃度障害を起こしたのではなくて,根の中にいる共生菌がなんらかの原因となっているものと考えられる。それは,フラスコ出しの幼苗では酸素補給をしない水中に根を入れておいても死ぬことなく水耕栽培が可能であること,さらには水耕して根の枯死した鉢植え個体をそのまま水耕し続けてバルブから新根を形成させると,水中で発根してきた根はラン菌が入らないまま伸長し,その後も水中で褐変枯死することなく水耕栽培が可能となり開花に至ることにより,共生菌は水中の根の中で皮層細胞と酸素を競合し,皮層細胞が死に至らせられるのではないかと推察される。】
【画像は死滅状態の皮層細胞】
この手の根は腐っているのでなかなか良い画像が撮れない。
初期は褐色から黒褐色に変質している。進むと腐敗して空洞となる。
蘭の根痛みにはいくつかタイプがある。
肥料障害で外皮がやられ次第に皮層細胞が壊れていくもの(根全体がやられることはなく一部が灰色に変質する)。皮層細胞だけが死滅し根被や中心柱はしっかりしていても中がカスカスになっていくもの(根の元から先端まで変質している場合が多い)。バルブや葉の異常から中心柱が黒変しているもの(病気)。など・・・・
上記も澤先生の記述だが、皮層細胞とラン菌は酸素の競合で自滅する関係のようだ。皮層細胞とラン菌の間で酸素の競合がおこると先に皮層細胞が死滅し、皮層細胞が死んでしまうとラン菌も生きていけない構造なのだろうか?ラン菌が先に死んでくれたら皮層細胞は死ななくても良いのかもしれない。
澤先生の記述は、根を水に浸けた事例だが、鉢の中でも起こっている。加湿による酸素不足も大きな要因だと思うが、ラン菌が皮層細胞を死に至らすのにはもっと複雑な関係があるように思えてならない。
Posted by woods at 2011年08月26日(金) 22時30分
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