2012年07月03日(火)
花芽分化5 [寒蘭の勧め]
寒蘭のバルブを検鏡してみた。
こちらは、成木の成熟したバルブ(3年生)。
びっしりとデンプン粒が蓄積されている。
こちらは、中木の2年生バルブ(昨年の芽に新芽付き)。
デンプン粒はまばら。しかも小粒である。
こちらは、成木の2年生バルブだが、新芽が奴で付いていたもの。
まったくデンプン粒は見られない。
これは、上の3のバルブの成熟した根。
十分伸張した根の中程からやや上であるが、デンプン粒が詰まった細胞が見られる。
3のバルブの伸張中の根。
まったく内容物が見られない。
これは、上の3のバルブの別の成熟した根。
蘭菌のペロトンが見られる。
(蘭菌の見つかる頻度は非常に少なかった。)
上の拡大。
ペロトンは昨年の観察では、新しく伸張中の根や若い根には少なかったと思う。
デンプン粒(この粒はデンプンだと思うのだが確認はしていない)の蓄積は、バルブと根ともに成熟するにつれて多くなっているようだ。若いバルブや根ではほとんど蓄積されていない。
若い組織では光合成で生成された炭水化物はすぐに利用されて貯えられるところまで行かないのだろう。
それとも私の採光管理では、若い組織では光合成がデンプンの貯蔵までいかないのだろうか?
寒蘭もシンビジウムと同じように光合成の光飽和度(光合成が一番活発になるところ)は3万ルックス程度と言われている。
私の蘭舎はこの一ヶ月間は半分どころか三分の一にも達していない。
(ちなみにシンビジウムは余裕を持って5万ルックス程度の環境で栽培されている。)
Posted by woods at 2012年07月03日(火) 18時23分
コメント
fockeさん こんばんは
寒蘭はシンビジウムと違って日本の気候に適応していると思います。そのため暑さに対する防御システムがどこかで機能しているはずです。
シンビジウムは、原産はインド当たりの高地となっていますが、日本の栽培種はさらに交雑が進み日本の高温に適応出来ずにブラインド現象を起こしているようです。交雑の親によりブラインドを起こしにくい品種もあります。寒蘭に近いスルガランなどが入っているとブラインドを起こしにくいようです。
シンビジウムは寒蘭栽培の参考にはなりますが、まったく一緒という訳にはいかないです。
それとシンビジウムのブラインドは花芽が2、3センチ以上に伸びてきたときに気温が25℃以上あると発生するようです。
satoさん こんばんは
バルブはデンプンの貯蔵庫といっても良いと思います。細胞数は変わらないと思いますが、デンプンが貯えられて一つ一つの細胞が大きくなっています。それとバルブ以上に根の中〜上部の細胞にはデンプンが詰まっています。
採光については日焼けとの兼ね合いがあるので多く採ればいいと言う訳にはいかないですね。どれだけ日照が取れるかですが、5月で1万5千ルックスが限界でしょうか。ここ何年か猛暑になっていますので遮光優先で管理しないと蘭が持たないです。そう言う点から冬場の管理が重要になってくると思います。
woodsさん、倶楽部の皆さんこんにちは
バルブは光合成によってデンプンが蓄積されて大きくなっていくのですか・・・それと3万ルクスで飽和状態という事は、私の蘭舎では全然足りないという事になりますね。もっと日照が必要→温度が上がる→蒸れ等の病気が発生する・・・採光管理、風通しを良くし予防をきっちりやるという事でしょうか!?
woodsさん、こんばんは。
花芽分化5まで読んで思ったのですが、私の場合、11月中旬から4月上旬までは玄関内に置き、スタートが4月上旬です。花芽は9月以降に出て必ず咲き、途中で止まる又は腐ることは過去にもありませんでした。
当地は9月になるとすぐ涼しくなりますが、昨年の8月の最高気温は37.7℃、とにかく暑い所です。
ただ8月には花芽は地上に出ていません。地中の温度は測定したことはありませんが、バルブの下部は気化熱で涼しいのかもしれませんね。
したがって花芽の健全な伸長には高温が障害になり、分化にはデンプンが関与しているのでしょうか。
言い忘れましたが、我家で咲く花は本部展で金賞を取れるかどうかは分りませんが、自分では十分満足できる花がwoodsさんのおかげで咲きます。
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